ワルシャワ委員奮闘記(1)

 今日は、個人的なことを書きたい。

 ワシャは凸凹商事を中途退職して、その後、凸凹の社外委員のようなことで何がしかのお金をいただいていた。同僚の委員は30人弱いたけれど、まぁワシャが一番働いていたことは凸凹社員ならみんな知っているよね(笑)。

 ワシャはこの春で委員を辞した。その時期に委員の改選があったのだけれど、ワシャはあえて立候補しなかった。ワシャと同様に何人かの委員が辞め、その穴を埋めるために新たな委員が登用されて、活動を開始している。

 その新人委員さんたちについて、おもしろい話を聞いた。ベテランたちはぬるま湯に浸かっているので、代わり映えがしないが、若手や新人の皆さんの出席日数が向上しているのだそうな。

 年に「49日」程度しか社に顔を見せない古参委員もまだ生き残っているが、まぁ絶滅危惧種に近い状況になっており、そのうちに淘汰されていくでしょう。

 そんな異種を除けば、全体的に出席日数か増加しているという。いいことじゃないの。

 こうしてしっかりと出勤する後輩たちを見ると、4年間、土日も社に出勤して趣味のようにして仕事をしてきた甲斐があったというもの(自画自賛バカ)。

 というか、ワシャの場合、委員フロアの図書コーナーの隅を占領して、ずっとそこで資料の調査・研究などするのが楽しかったし、そのほうが資料を移動する必要がなく、だから散逸せずに済むから仕事が捗るのである。

 ワシャがそのコーナーの一角で仕事をすることを、年長委員たちは嫌がった。あからさまにワシャに「一人で使っているのは如何なものか」と言って来る委員が5人はいた。それも「他のグループから言われたから注意する」というスタンスを取ってくる。

 そこまで言うのならと、他のグループの委員(自分の会派の委員より仲がよかった)に確認すると「そんなことは言っていません。誰も使っていないんだからワルシャワさんが使ってください」と言われて、はいお仕舞い。

 なにしろ「図書コーナーを一人で使うな」と言う委員が、図書コーナーで本や資料を開いているところを見たことがない。まったくとは言えないな、年に2~3度は見たことがある。その程度だ。それよりも多い頻度で目にするのは、委員と社員が雑談をしているところである。雑談でもないか、「次の会議の質問を考えてほしい」とおねだりをしていたから、仕事の話とも言えなくないか(笑)。

 広い図書コーナーである。ワシャは無言で資料を読んでいたりするので、まったくその人たちの雑談に迷惑を掛けていない。しかし「一人で使っているんじゃない」と嫌味を言ってくる。

 でもね、ワシャも頑固なので、「公共空間をなぜ自由に使えないのか?」とか反論をするんですわ。ああ言えばこう言う若手に、長老たちも面倒になってくるんでしょう。そのうちに「一人で使うな」から「いつも書類が広がっているので美観的によくない」とか言い換えてきた。

 そうきたか。だったらということで、ワシャはコロ付きの三段プラスチックケースと書類整理棚をホームセンターで買って図書コーナーに持ち込んだ。もちろん委員会事務局には「先輩から書類を片付けろと言われたので、片付け用のケースを置かせてほしい」と話を通し、どのみち誰も使っていないだだっ広いだけが取り柄の図書コーナーなので、二つ返事でオッケーが出て、コーナーの隅に堂々とワルシャワ専用の資料置き場を確保できたのである。

 だんだんワシャのオフィスが構成されていく(しめしめ)。そうなるとね、社員たちとの打ち合わせも、書類・資料を並べたままでできるので、話が早い。

 机の向こう側に部長がいて、こちら側から書類の疑問点を示し、「この点はどう考えるの?」と尋ねると、部長はその横の会議議事録を開いて、「○年○月○日の会議で説明をしています」とか、すぐに疑問点が解決される。まさに「拙速は巧遅に勝る」だった。

 2年目に入るころには、「図書コーナーのワルシャワオフィス」は社員の中でも有名になっていき、会社に出勤するのが楽しくなった。楽しい委員活動は同僚委員にも伝わり、徐々に出勤する委員が増えてきた。さすがに図書コーナーには進出してこなかったが、グループに割り当てられた部屋で、何人かの委員がコツコツ仕事をする風景が普通になっていた。

 それが新人委員たちに伝わっているなら重畳、重畳~。(つづく)