どうする名古屋城

 今朝の朝日新聞

《河村市長、差別発言制止せず「申し訳ない」 名古屋城討論で市民発言》

https://news.yahoo.co.jp/articles/f6d272aadb8ae537bf07cd976f6ce917c3aac21e

 要するに、名古屋城天守を木造復元するに際し、最上階の望楼までエレベーターを設置するかどうかの市民討論会で、参加者から、やはり参加者の障害者に対して「差別発言」があったと騒いでいることに対して川村市長が謝罪したというもの。

 まず、論点を整理したい。「名古屋城を空襲で燃やされる前の木造で再建したい」というのは名古屋市の悲願である。現在の天守は、戦後、鉄筋コンクリートで、再建されたレプリカである。外観はなんとか慶長15年の天守に似せることはできた。しかし、天守の内部は全く別物でレプリカですらない。中にもエレベーターが設置されているし、外側にも本丸の地面から高い石垣の上に建つ天守1階に直接行けるエレベーター棟が無粋にもくっついている。外観をなんとか取り繕った名古屋城ではあったが、このエレベーター棟の存在で、すべてがぶち壊しになってしまった。日本の城のなかでももっとも不格好な城と言っていい。

 ワシャの父親は尾張犬山城下で生まれた。だから城好きになったのかは知らないが、いろいろな城郭に登るのが楽しみで、あちこちの城を巡っていた。名古屋城ばかりでなく、行く先々の天守望楼に足を運んだ。

 でもね、高齢となってさすがに足腰も衰え、すたすたと急な階段を上がれなくなってしまった。もちろん、エレベーターがあればいいのだけれど、木造でできている文化的価値の高い天守に、エレベーターを設置するなど狂気の沙汰だわさ。

 父親は、「だから天守望楼まで登らなくてもいい」と言っている。偉丈夫な天守を見上げるだけでもうれしいという。「エレベーター棟がちょっと邪魔だがな」と笑っていたけどね。

 まぁいいや。そういった高齢者の意見もあるということをまず言っておく。その上で、障害者の皆さんには、「歴史・文化としての名古屋城に本当にエレベーターが必要かどうか?」ということを考えていただきたい。

「差別発言」と言われるものを口にした参加者がいたんでしょう。その発言を引きますが・・・。

「河村市長が造りたいというのはエレベーターも電気もない時代に作ったものを再構築するって話なんですよ。その時になぜバリアフリーの話がでるのかなっていうのは荒唐無稽なんで」

 と、ここまでは善かった。ここからの一言が、この発言者も自分たちの利便だけを主張する人に対して溜まっていたのだろう。

「我慢せえよって話なんですよ。お前が我慢せえよ」って言っちまった。普通の人は、感情が高ぶってくると、ついつい本音が出てしまうんでしょうね。

 

 ここで気を付けなければいけないのは、LGBTにしてもアイヌにしてもそうなんだけど、少数者への「差別発言」にことさらスポットを当ててしまうと、核心の論点がぼやけてしまうということなのである。

 国のLGBT法案でも、提出直前に首相補佐官からの「差別発言」が表ざたになり、LGBT法案への強い追い風となっていることは記憶に新しい・・・というか今まさに動いている。

 これとどうようで、「差別発言」なるものを責めることはいいけれども、それと「文化財的な木造建築にエレベーター設置は無理」という問題をごちゃまぜにしてはいけない。

 城好き、天守好きの老人、でも自分の体力では階段を登れない高齢者が、それでも「エレベーター設置」に反対している現実、これをどう見るか。

 少数者といっても、ある種の偏向をもって事業を見ている連中も間違いなく存在する。そこをきっちりと見極めて、後世に恥じない名古屋城天守を建造してもらいたい。「差別」というワードでぶれるなよ、河村市長。

 

 

 おっと、同じ紙面で、どこぞの憲法学の教授が《「我慢せえよ」という発言は、社会モデルに根ざした名古屋市の障害者差別の解消をめざす条例の根本精神にも反するものだ。》と左巻き珍説を開陳している。そして「我慢せえよ」はヘイトスピーチだとも言っている。

 これはサヨクお得意の言葉狩りである。政治家や公務員が言ったのなら「アウト」だが、普通の町場のおっちゃんが「我慢せえよ」と言って問題が生じるのだろうか。

「我慢してください」、「我慢していただけますでしょうか」、「お我慢していただければ幸いでごじゃりまする」とでも言えばよかったのか?

 普通の参加者、普通に名古屋城を愛するオジサンの「我慢せえよ」という発言を際立たせて、エレベーター設置に持ち込むなど、極めて卑怯な手段であり、それを後押しをするサヨク学者には「ボケたことを言ってんじゃねえぞ」と言ってやりたい。これも「言葉狩り」にあうといけないので「おボケたことをおっしゃっているんじゃございませんことよ、オホホホホ」にしておこう。バ~カ!