横浜市議会と住田町議会

横浜市会の質問、職員が考案? 市議の投稿が注目 「あしき慣習」に一石》

https://news.yahoo.co.jp/articles/746db529717a9d924efb526b85cbb120d3ceaacb

 今更、なにを言っているのか。

横浜市会での質問内容はこちらで考えましょうか─。市職員からそんな提案を受けたという市議の発信が、X(旧ツイッター)で一時注目を集めた。「回答者側」の市職員が、議員が練るべき質問内容を考案するという「あしき慣習」に対し、一石を投じた形だ。》

 ワシャの知る限りでも、自民系地方議員が自分だけで一般質問を書いているなんて話は極々わずかしか聞いたことがない。1時間の質問時間があって、半分が質問とすると30分。1分270字として8100字になる。ざっと原稿用紙20枚の文章が必要となる。

 共産党などの党組織がバックについているところは自前でなんとかする。それこそ、党本部から「この質問をしろ」と降りてくるから、それをベースにすればいい。しかし、自民系は人数も多いこともあって、党本部や県連から質問事項の指示などはないと断言できる。指示も指導もない状況で、国語の教師でもないふつうのオジサン、オバサンに8000字を超える原稿を書けという方がどだい無理な話なのである。

 ワシャの知り合いに自治体の企画部門を長く務めた男がいるが、そいつは酒の付き合いがよかったので、仲のいい議員から「一般質問のネタ、何かない?」と相談を受ければ「あいよ!」ってんで、質問から答弁まで仕立てて届けていた。

 議員には恩を売れる上に喜ばれるし、企画サイド(市)としてはもっていきたい方向に議会を誘導できる。なにせ、自治体執行部側が質問を書いているんだからね(笑)。

 これは、それこそ知り合いが企画政策に関わるようになった30年ほど前からそうだったと言っている。おそらくそれ以前からも同様だったろう。

 こんなことは、全国の自治体で何十年も続いてきた暗黙の了解であり、今回、すっとぼけた新人議員がX(旧ツイッター)にポストしてしまったから大事(おおごと)になっているだけ。

 そもそも行政知識があり、文章力もあって、パフォーマンス能力の高い人材がやたらといるわけがないじゃないか。そんなものを地方議員に求める方が無理なのだ(一部にモノのいい議員もいる。それは否定しないので、Kさん安心してね)。

「質問の読み原稿はどういたしましょうか」「こちらで書かなくてよいですか」と尋ねた市職員も阿呆である。新人議員にそんなことを言ってはいけない。少なくとも、執行部側との約束が守れるか、口が堅いか、などを見極めてからそういったアプローチをするならいいけれど、海のものとも山のものとも解らぬ新人にそんなことを尋ねてはダメ。

《「あしき慣習」に対し、一石を投じた》というけれど、行政側が質問をこしらえなくなったら、一般質問の内容が学っと落ちてしまう。まぁ一石を投じても、頭のいい行政マンや強かな議員は、水面下できっちりと握っていくでしょうけどね(笑)。

 一石を投じたはずのX(旧ツイッター)はすでに削除されてしまったという。その一石はなんだったのかニャ?

 まあね、市議会なんぞにクオリティーを求めるからいけない。学芸会を見ていると思えば、下原稿があろうが、台本を職員が書こうが、それほど腹も立ちません。

 むしろ、そのことよりも、仕事に対しての議員報酬が高すぎることのほうが問題だ。欧米のようにボランティアに近いものにしていけば、市民としてもそれほど腹が立たなくていいのではないか?

 だってさ、自民党系の議員など、衆院選参院選、知事選、首長選、県議選が忙しく、自治体の仕事などやってられない。ポスターを貼れだの、チラシを配れだの、支援者名簿を揃えろだの、面倒くさい仕事は末端の議員に回ってくる。こっちの業務は1円にもならないから、手弁当でやっている。むしろ党費とか、後援会参加費を取られるから完全なる赤字となる。それを埋め合わせているのが、市議会議員として市からもらえる議員報酬ということだ。

 このあたりの矛盾を根本的に解決しない限り、上っ面の「悪しき慣習」を突くだけでは、市民の納得する議会にはならない。

 平成19年9月の地方分権改革推進委員会で、前鳥取県知事の片山善博氏が「全国のほとんどの自治体議会は、八百長と学芸会をやっている」と断じている。横浜市議会で騒ぎになっていることなど、十数年も前から問題になっていることであり、そしてその問題に対してなにもしてこなかったのが現実である。

 もう一度、片山発言の原点に返って地方議会を見直した方がいい。

 

 で、これだ(笑)。

《立候補者足りず、あわや「欠員無投票」の町議選 見えた課題とは》

https://news.yahoo.co.jp/articles/c9205cae82b733676d72ba2ac49fdbdfbc0b1825

 岩手県住田町の町議選である。東日本大震災の折に、震災直後に陸前高田市や大船渡市を支援に行った際に、ベース基地を造ったのが住田町だった。そんな縁もあって、このニュースにも引っ掛かった。

 横浜市議会議員の月額報酬は95万3000円とかなり高い。横浜に比べれば住田町の議員は、月に19万6000円、これだけで食っていける額ではない。議会である以上、やることは同じで、議員定数横浜市が86人、住田町は12人の議員でこなしている。

 高給を取りながら学芸会ですむ楽な仕事には、多くの人間が集まり、大変な業務量を安い報酬で対応しなければならない仕事には人が集まらない。

 この矛盾を解決しないと、日本の地方自治はいずれ崩壊するね(笑)。