豊川市長選

 昨日の朝日新聞地方版に、豊川市長選の得票結果が出ていた。ワシャ的には、新美南吉のほうが重要事項なので、そっちを優先して書いたんだけど、やっぱり豊川市の話も気になって、1日遅れでケチをつけたい。

 

 投票率が29.14%で過去最低だったという。10人中7人が投票に行かなかった。当日有権者数が14万8798人だから、10万5000人以上が「どーでもいい」とそっぽを向いていたことになる。これは地方自治を考える場合にどうなんだろう?

 まず低投票率の原因を見てみよう。自民・公明の推薦する69歳の現職と、共産党が推す75歳の元高校教師の一騎打ちである。

 国政でも衰退著しい共産党が、地方自治で候補を立てることが往々にしてあるけれど、まったく歯が立たなくなっている。無投票を阻止するために候補者を立てるのか、次の選挙に向け共産党票の掘り起こしを図っているかは知らないが、75歳のオバアサンじゃあ現職に対抗できないって。せめて、40代くらいのちょいとこぎれいな女性候補を立ててごらんなさいよ。結果は現職が勝つだろうが、もうちょっと得票も投票率も上がったことは間違いない。

 再選を果たした現職市長だが、これは手堅かった。そもそもが政治屋ではなく、市の職員から副市長に抜擢されている。経歴に企画部政策調整監という役職名があったから、いわゆる市の計画、施策、プロモーションなどを担当する部長で、このルートから副市長に上がるのは正解だ。副市長を経験して市長になる。これが手堅い。行政を熟知しているからね。そして、企画や財政部門の部長級まで昇格しているということは、ある程度のフィルターをくぐっている証拠でもある。

 行政経験もなく社会経験もない組織を知らぬ人物がたまたま首長になってしまうというパターンが一番よくない。そんなのが2期3期と期数を重ねると、とにかく首長を続けることが目標となって、腹心選びや組織づくりをやり始めるので、まちづくりという一番重要なところが疎かになる。そんな例は、三河にもあるし、全国にも山ほどある。こうなったら自治体はおしまいだ。暗愚のトップを戴いたがために「暗黒の20年」などと言われる時代ができてしまう(笑)。

 まぁそれに比べれば、豊川市はいいほうだろう。2期目の行政上がりの市長。それなりにブレーンもいるだろうし、なにより45年も地域を見てきている強みがある。

 しかし、武漢肺炎が流行した際に、早々に支那へマスクを贈って、豊川市のマスク不足を引き起こしたという、どちらかというと軽率な印象も付きまとう。

 同じ時期に、感染予防とために多人数での会食自粛が政府から要請されていたにも関わらず、議会の最大会派(自民系)からの誘いを断れず、十数人での宴会に出席してしまった。軽いなぁ。

 そしてとどめが、令和4年7月に、LGBTなど性的少数者カップルが婚姻に相当する関係にあると認める「パートナーシップ宣誓制度」を導入してしまったんだとさ。

 こりゃダメだ。これらが市長主導で行われているならばアウトだし、部下の暴走を止められなかったとしても市民の共感は得られない。

 投票率29.14%は、共産党への失望もあっただろうが、現職市長そのものへの期待の喪失があったのも現実だ。