議会という俗域

安芸高田市  石丸市長提出「議員定数半減の議案」反対多数で否決 市長と議会の対立続く》

https://news.yahoo.co.jp/articles/07c35ca8f3170509476b2adeda1f55ae553c9a00

 広島県安芸高田市。人口は26,000ほどというから、市というにはあまりにも小さい。市議会議員は16人で、議員1人当たりの市民数が1600人くらい。隣接する広島市が120万人市民で議員定数54人だから議員1人当たり22,000人なんですね。広島市換算でいくと安芸高田市は議員1人でいいくらいなんだけど、それでは地方行政が成り立っていかないので、ある程度の人数が必要ということになる。これを新市長は半分の8人にするという議案を出したが、議会側に否決されたというお粗末。

 

 基本的な話をしよう。ワシャは基礎自治体の規模は20万~30万程度が適当だと思っている。その理由はごく簡単に言えば、安芸高田市のような規模で、行政、議会などフルセットで持っているのはどうしても効率が悪い。議員の担当市民数を見ても、1600人ってひとつの自治会くらいの感じですよね、とすると、だいたいの議員が集落代表議員ということになって、仕事が溝浚いや草刈など近視眼的になり、大きな施策にはあまり目がいかなくなる。

 反対に規模が大きくなりすぎると、細かいところまで目が届かず、住民の声が市政に反映されにくくなる。

 この双方をバランスよく執行するには、ほどほどの20万~30万人規模の自治体がいいのである。

 とはいえ現行では安芸高田市は26,000という人口規模でやっていくしかなく、そうすると議員数は半分の8人で充分だと思うけれど、市議側にも市議側の言い分もあることから、ことは慎重に進めるべきではあった。

 元宮崎県知事の東国原氏はスポニチ

東国原英夫 広島・安芸高田市メガバンク出身市長と議会の対立「もうちょっと円滑に議会改革を」》

https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2022/06/13/kiji/20220613s00041000436000c.html

で、こんな発言をしている。

「議会改革とか必死なんですよ。待ったなしでやってらっしゃると思う。そういう意図は分かる」と前置きをして「議会運営を市民、市のためにやれば、もうちょっと円滑に議会改革をやられた方が良い」と言われる。

 そのとおりなんですよ、小さな町で旧態依然とした昭和の議会が続いている。それはそれこそ全国津々浦々で山ほどの事例を見ることができる。

 メガバンク出身の若き市長は、その問題点に気づき一気に走ってしまったのだろう。なにしろ、昭和議員のDNAは手ごわい。年功序列、国政、県政とのつながり、横断的な党派のつきあい、それが裏目に出たから市長が代わったわけだけれども、なにしろその古きしがらみはなかなか若い人にはついていけない。

 東国原さんは、そのあたりも理解しつつ、「もうちょっとうまくやれ」と言っている。それだけこの若き市長に期待をしているのだと思う。鹿児島県阿久根市でも同様の騒動が起きたが、あちらは市長のものがいささか悪かった。今度の市長はもう少しまともであってほしいので、今回の件は問題提起として示したことで善しとして、次なる作戦を考えたほうがいい。

 

 それにしても、居眠りをする、一般質問をしない、説明責任を果たさない議員というのはいかがなものか?長老議員になると何年も一般質問に立たない大物もいる。というか、大物過ぎて頭が回らないので質問が考えられない。なかには執行部に「質問を考えてくれ」と恥ずかしげもなく言えるトンデモ議員も多い。質問が思いつかないなら議員なんかになるな!

 ワシャの友だちのT君は、昔、市の幹部を務めたことがあって、その頃は彼のところに何人もの議員が訪ねてきたという。「質問を考えてね」と頼みに来るのである。

 もちろんT君、快く「了解しました」と請け負って、質問から答弁まで全部作り上げて件の議員に原稿を手渡す。そしてこう釘を刺す。

「一言一句間違えないようにお願いします。変に言い方を変えると論旨が替わってしまい、市側とのやりとりがおかしくなってしまいますからね」

 議員は、T君の持っていきたい方向に誘導され、議会はつつがなく進行するのでありました(笑)。

 では困るのだ!議員はいつでもきっちりとした問題意識をもって行政の仕事を監視していかなければならない。常に行政課題の10や20は懐にもって市役所に足を運ぶべきだろう。

 しかし長老議員になると年4度の議会と途中の臨時議会にちょこちょこっと顔を見せるだけで、後は何をしているのかまったく分からない人もいる。1年を1ヶ月出勤する程度で過ごされてはたまったものじゃない。これを若き市長は問題にしているのだろう。議員が常在戦場で緊張感をもって市役所に毎日登庁してご覧なさいよ。誰も文句を言わないから。

 議会改革、議員改革は絶対に進めるべきであろう。