君子は諸(これ)を己に求め、小人は諸(これ)を人に求む

 一昨日の読書会のことである。課題図書は角川書店の「ビギナーズ・クラシックス中国の古典」シリーズから、加地伸行論語』(角川ソフィア文庫)を選んだ。これがなかなか好評で、いつもは「まえがき」と「あとがき」を読んで済ませるメンバーの文庫に、かなりの数の付箋が付いていてびっくりした。

 加地先生の解説もおもしろかったが、なにしろ『論語』自体の深さに感動する。なにせ2400年も前の書物なんですよ。それなのに、「フニャチン岸田」を批判し、「エッフェル松川、ブライダル森、デリバリー木原」を叱責し、「自民党」の年功序列に異議を唱え、「流山市」「明石市」について褒めている。タイトルは「衛霊公篇21」なんだけど、これなんてまさに「ビッグモーター」の脱兎親子のことでんがな。どこぞの「元首長」の無能さについても書いてあるんですよ(笑)。すごいな『論語』。2400年が経過してもまったく色あせない、むしろ今の状況を的確に言い当てている、まさに人類の名著と言っていい。

論語』自体もおもしろいのだが、関連の書籍を紐解くのも『論語』のおもしろさを引き立てるスパイスだ。加地先生のこの本もそうだし、渋沢栄一論語と算盤』、山本七平論語の読み方』、呉智英『現代人の論語』などなどいろいろと揃っているから、ぜひお読みくだされ。きっと得るものは大きいと思いますよ。

 

 さて、読書会の終盤にメンバーの一人が「ワシャさん、松平家定って知っていますか?」と振ってきた。

 もちろん戦国史、徳川史に詳しいワシャが知らないわけがありまへんがな。ワシャんちの書棚にも『松平家忠日記』(角川選書)が挿さっているくらいだからね。

「なぜそんなことを聞くんですか?」と問い返すと、今、そのメンバーの地元で「松平家定」の企画展をやっていて、「もし、興味があるなら見に行かれて、感想を聞かせてほしい」ということだった。そのメンバーが企画展を実行した学芸員をご存じのようで、その出来栄えを確認したいというのも裏にあるようだ(笑)。

 だから、近日中にその企画展を観に行かなきゃいけない。その前に『松平家忠日記』(角川選書)も再度目を通しておかないとね。

 

 読書会の後は、いつもどおり駅前の居酒屋で、本の話を肴におだを上げたのだった。あ~楽しかった。