役に立たない読書、役に立つ詰将棋

 中日新聞朝日新聞も1面は「藤井四段の29連勝」だ。中日なんか5面の社説、25面、26面、27面と藤井四段特集になっている。出身地の瀬戸では大騒ぎになっている。これで瀬戸は将棋の町として売っていける。瀬戸物で将棋の駒をつくったり、藤井四段の似顔絵入りの皿を製造して、どんどん町を活性化しないとね。
 小学校4年の時から、加藤一二三九段の『将棋の初歩入門』で勉強していたので、ワシャも最初の一手は藤井四段と同じ手を打つ(笑)。

 さて、忘れてしまうので、先週あった読書会の話を書いておこうっと。
 課題図書は、林望『役に立たない読書』(インターナショナル新書)。林望さんの読書法は、ワシャの読書と共通するところもあれば、少し違うところもあって、そのあたりの差異がおもしろく、楽しく読ませていただいた。林望さんの読書への考え方を抽出してみる。○は林望さん、※はワシャの感想である。
〇無音の状態で読む。
※ワシャは無音では本が読めない。環境音楽管弦楽などを流していないと耳鳴りが気になって読書に集中できない。
〇読書は広義の娯楽である。
〇随時読む。
〇同時並行的に何冊も読み進める。
※これはワシャもそうだなぁ。今でも10冊くらいは並行して読んでいる。『ローマ人の物語』『平家物語』『白隠禅師法語全集』『影法師』などなど。
〇気に入ったところは折り曲げたり、付箋をつけたり、傍線を引いたり、欄外に注記を書き込んだり、大いに手垢をつけて読む。
〇歩きながら、お風呂の中で、あるいは寝る前であっても、いつもなにか読んだり考えたりする。
〇読書と人格はまったく関係ない。
〇匿名の文章に価値はない。礼に非ざれば聴くことなかれ。
〇活字に依存するのではなく外界に興味を持て。
〇本棚は脳味噌の延長である。他人の本棚は新しい知見の宝庫。
〇同じ本をあちこちに置いておく。
司馬遼太郎の『この国のかたち』は5カ所に置いてありますぞ。
〇葦編三絶。
〇日本では、本当の意味での「読書」が、紙から電子書籍に置き換わることはない。
〇本は買って読む。
※ワシャも原則はそうである。しかし、単なるサラリーマンなので欲しい本をすべて入手するというのは財政的に無理がある。だから高額のものやそれほど魅かれないものは取りあえず図書館で借りて内容を読んでみる。折ったり線を引いたりできないので、付箋を打って読み進む。付箋が多ければ購入するといった具合に、効率的にいい本を買うために図書館を利用している。
〇本は「自分の興味」によって選んで読む。
※もちろんそのとおりだが、「読書会」などで人から勧められた本を読んでみることも、新たな世界を知るうえで貴重だ。林望さんくらい自分の読書世界ができていればいいが、ワシャら普通の読書人は「人の興味」によって読むことも必要だと思う。

 ワシャの読書法は作家の日垣隆さんの影響を受けている。ワシャは「日垣流」と呼んでいるが(笑)、日垣さんの読書についての一冊『つながる読書術』(講談社新書)は名著だと思う。