読書の海

 読書海海戦は連合軍優勢に展開していった。しかし主催の特権を活かして、戦況が不利になると「コロナ対策で換気のために5分間休憩します」と宣言して敵(笑)の攻撃を止めるのだった。

 なにしろ激烈な読書会だったので、ワシャは翌日布団から出られなかったくらいなのじゃ(二日酔いとも言う)。

 

 午後3時を回った。後半は李登輝さんから離れて、メンバーが今年読んだ本の中での推薦図書を発表し合う。そのラインナップを記載しておく。

 

 

市原徳郎『野間清治 雑誌王は不動産王』(展望社)

薛化元(編集)『詳説台湾の歴史 台湾高校歴史教科書』(雄山閣

辻田真佐憲『古関裕而の昭和史 国民を背負った作曲家』 (文春新書)

パオロ・ジョルダーノ『コロナの時代の僕ら』(早川書房

カレル・チャペック『白い病』(岩波書店

スズキナオ『酒ともやしと横になる私』(シカク出版)

渋沢栄一『現代語訳 論語と算盤』 (ちくま新書)

小林秀雄本居宣長』(新潮社)

川島真, 松田康博,楊永明, 清水麗『日台関係史 1945‐2020 増補版』(東京大学出版会)

ボブ・ウッドワード『FEAR 恐怖の男 トランプ政権の真実』(日本経済新聞出版)

サンキュータツオ『これやこの サンキュータツオ随筆集』(KADOKAWA)

趙紫陽, バオ・プー, ルネー・チアン, アディ・イグナシアス『趙紫陽 極秘回想録 天安門事件「大弾圧」の舞台裏!』(光文社)

河崎眞澄『李登輝秘録』(産経新聞出版)

小川洋子『ことり』(朝日新聞出版)

C.S. ルイス『さいごの戦い―ナルニア国ものがたり〈7〉』(岩波書店

白川静『漢字の体系』 (平凡社)

 

 このバリエーションの広さは如何ばかりであろうか。読書会のメンバーに薦められなければ、この中のおそらく3割すら読まなかっただろう。『ことり』は読みまへんわ(笑)。「野間清治」も「古関裕而」も手に取らない。

 しかし、メンバーがおもしろかったと太鼓判を押しているので、年末までにはすべて当たることにしよう。

 ちなみに、ワシャが推薦したのは『漢字の体系』で、金額ではダントツだった。なにしろ特別定価でも8800円もしたのじゃ。ここで威張っても仕方がないが、帯の「白川静最後の字書」という文言に引かれてカゴに入れてしまった。以前に買った白川さん監修の本が1200円だったので、厚さがその3倍くらいだったので4000円くらいと踏んでいた。ワシャは一々値段を見ないんですが、雑誌や新書などを合せてレジに持っていったら、14000円の請求がきてビックラこきました。ワシャ的には1万円でお釣りがくると思っていたんですね。『字訓』『字統』や、その他、白川本は持っているけれど、テーマ別の配列で漢字の繋がりの分かるものはおもしろい。

 例えば「隷僕」という字のまとまりがあって、隷、臣、民、童、妾、宦、賢、俘、奴、僕がカテゴライズされている。これらの字の由来を解きながら「隷僕」という題のエッセイを読んでいるような、そんな感じかなぁ。字と字がどんどんつながっていって、字が生きもののように見えてくるのである。(つづく)。