屋根の上で遊んではいけません

 昨日、屋根から落ちた。遊んでいたわけではない。

 台風の後、たまたま実家の父親のテレビが映らなくなり、いろいろいじくり回したのだが、ダメだった。仕方がないので新しいテレビを買おうということで、近くの大型電化店に行って新品を買ってきた。それを接続したのだが、その画面には「ケーブルが接続していない」と表示が出るではあ~りませんか。

「え、ケーブル?」

 ということでケーブルを調べたんだけど、取り合えず目視できるところに異常はない。あとは2階の屋根の上を這ってアンテナにつながっている部分までの確認だが、それは2階の屋根に上がらないとダメだった。

 

 昔、中学生の頃だった。隣町の花火がワシャの実家の2階の屋根からよく見えた。だからワシャは1階の屋根に面した2階の窓からちょんと出て、瓦の斜面を駆け上がり、棟瓦をひょいひょいひょいと伝っていく。2階屋根の軒下にたどり着くと、軒瓦に手をかけてちょいと懸垂をして2階の屋根の上に立ったものである。

 

 その記憶があったので、何とかなるだろうと思った。

 ところが、2階の窓が狭くて抜けられない。ワシャの体格が中学生の時とは違うし、なによりも身体が固くなっていた。それでも、身体を押し出すようにしてようやく窓枠を抜け、瓦をよじ登るのだが、はっきり言って怖い。滑ったら真っ逆さまに地上まで落ちる。へっぴり腰で棟瓦までたどり着いたのだが、ここでも「ひょいひょいひょい」とはいかない。「ひょ」で足を滑らしたら真っ逆さまだ。「ひょい」で棟瓦の出っ張りに足を引っかけっれば、真っ逆さまだ。「ひょいひょ」で棟瓦の頂点を踏み外せば、真っ逆さまだ。

 慎重なるワシャは両手で棟瓦を押さえ、四つん這いになって進んだのであった。なんとか2階屋根の軒瓦のところまでたどりついた。軒瓦に両の手をかけて、「ちょい」と力を込めればワシャの身体が軽々と浮く・・・はずが、浮かない。両腕に思い切り力を入れるんだけど、びくともしない。軒瓦を使っての懸垂ができなくなっていた。

 仕方ないので、助手を呼んで、大きな脚立を1階の屋根に担ぎ上げ、再挑戦となった。しかし、なにしろ足場が悪いところに持ってきて、脚立を引っかける軒には雨樋があって、それを壊してはいけないので、そこを外して支点となる場所を探す。そうしたらね、雨樋を避けてその下の部分に脚立が1㎝ほど引っかかることを発見した。助手に脚立を押さえてもらい、この1㎝に頼って2階屋根に上がろうとした。

 だが、脚立はワシャの重みで1㎝くらいは簡単にずれて、軒から外れてしまった。ワシャは踏ん張っていた足場がなくなって、両腕だけで軒にぶら下がることになった。でも、そんなに長くはもたなかった。本人は腕に力を入れているつもりでも、その力が空中に散じていくような・・・。

「あっ」と思った瞬間、ワシャは2mほど落下していて、1階の屋根に腰から落ちていた。その刹那(せつな)、屋根をゴロゴロと転がって地上に落ちる、そんなイメージが脳裏に走った。ワシャはとっさに左手を伸ばして木製の窓枠をつかんだ。これが功を奏した。木枠に手が届かなかったら、イメージどおり一気に地面まで落ちていただろう。体力の過信は禁物だ。そんなことを再認識させられた。

 

 腰の打撲はけっこう辛かった。腰が抜けてしまったような状態で、まともに立っていられない。杖やモノにすがって移動するんだけど、居間からトイレまで2~3分かかった。家が広いということではありません。いつもなら10歩でたどりつくんですけど、なにしろ腰に痛みがあって、抜けているからどうしようもない。

 今朝は昨日よりもまだマシなような気がするが、腰は油断をするとすぐに悪化するので慎重に対応をしたいと思っている。

 

 今日は、午前中に地元の「地蔵祭」があったんだが、当然のこと、出席できなかった。係の人に電話をして「屋根から落ちて腰を打って動けません」と連絡をしたら「や~ね~」と言われてしまった(笑)。

 笑っている場合ではない!