癒される東京

 昨日、東京。久しぶりの新宿駅には午前11時半に到着する。相変わらずこの駅の雑踏はすごいなぁ。ワシャのような田舎者には、目的地に向かって真っすぐ歩けないほどだ。人の波にもまれながら、蛇行しながら南口から外へ出た。
 甲州街道の広い歩道に出ても人ごみは緩和されない。やはり人人人の中を遠慮しながらキャスターバッグを引いて西に向かう。西新宿界隈で蕎麦屋を探す。何軒もあったのだが「つのはず」という名前が気にいったので、その店に入った。新宿辺の旧地名「角筈」からつけているのは間違いない。『半七捕物帳』にも「正雪の絵馬」という短編の中に出てくる。
 店の外の自動販売機でチケットを売る風情のない店だったが、周辺の何軒かの蕎麦屋も同様のシステムだったので、ネーミングに引かれてカウンターに座った。頼んだのは、深大寺そばの天ざる980円、これがなかなか当たりだった。蕎麦は細いが腰があってのど越しがいい。天麩羅も海老、イカ、レンコン、ナス、シシトウ、カボチャ、どれもがカラッと揚がっていて、そしてでかい。それを大根おろしのたれに付けてバリバリと食う。その合間をぬって蕎麦をチュルルルッといく。期待していなかっただけに、それなりに美味しかった。
 店を出て、東京都議会議事堂の南にある新宿NSビルに向かう。といっても5分とはかからないんだけどね。このビルの18階でセミナーがある。エレベーターで一気に18階まで昇り、出たところにきれいな洗面所があったので、そこで歯磨きやら身支度をして会場入りをした。すでに、事務局の人は来ている。そこで無沙汰をわびて、席に着いた。

 
 ちょっと話が逸れます。時系列的には、東京に着く前の話なのだが、のっけから臭い話を出すのがためらわれたので……。

 新幹線の中での話。新富士から50代後半と思しき太ったおじさんと二十歳くらいの若者が乗ってきた。会話の様子から親子である。ワシャの隣の1Dと通路を挟んだ1Cが空いていたのでそこに座った。父親のほうがワシャの隣になった。そして子供のほうは何かの試験を受けにいくようだ。テーブルを下して問題集をしきりに解いている。父親はというと席に着いたとたん、靴を脱ぐ。五本指の黒い靴下である。足の裏で前のシートに突っ張るようにしている。
 おいお〜い、新幹線の中は公共空間である。靴を脱ぐなとは言わない。しかし隣席に見ず知らずに人がいる場合、それは少しばかり遠慮をしたほうがいいのではないか。それに黒の靴下がずり下がっており、ワシャの目の前に太い脛が投げ出されている格好だ。
 結局、おじさんは品川で降りるまで、足を解放したままだった。そりゃぁ楽でしょうけれど、公共マナーの大切さを息子に示すためにも、しっかりしてよ、おとうさん。

 さて、セミナーである。これが良かったなぁ。秘密セミナーなので、具体的なことは言えないけれど、得るところが多く、また、若い元気な人たちのエネルギーに触れることができて幸いだった。
 また、主催者である師匠は、ワシャと同い年にも関わらず、そのパワフルなことといったらありゃしない。人生をおそらくワシャの何倍もの濃密さで生きておられるのだ。見習うと言っても、スケールが違い過ぎて畏れ多いが、それでもその勢いにあやかって、現状打破を計っていきたいと思っている。
 また再来週にも関連セミナーがある。がんばって、そこにも参加しようと思っている。