歌舞伎の危機か

市川猿之助 心中騒動で移籍希望の弟子が続出も…“後見人”團十郎は受け入れに拒否反応》

https://news.yahoo.co.jp/articles/cf42f7a288e385a85959346e115eb42dc78b551d

 いろいろな憶測が流れているが、ワシャはスキャンダルを含めて大歌舞伎だと思っている人間だ。だから、不倫しようが、自殺未遂をしようが、罪は罪として裁けばいいけれど、文化は文化なので、罪を償って反省すれば、役者は役者に立ち戻って、歌舞伎継承のために頑張ってもらえばいいと思っている。

 最近のリベラルの風潮「1ミリでもダメならすべてダメ」というのでは、世間は息が詰まってしまう。とくに芸能関係者に聖人君子を求めるのは間違っている。風紀委員のような役者がそろって舞台が成立するわけがない。役者は「人」の揺らぎが感じられるから「善人」から「悪人」まで演じ分けることができる。

 俳優の日野正平さんは、女好きだからいい演技を観せられるのだ。かれが石部金吉だったら、あんなに格好いいチンピラを演じられまい。若かりし頃、多くの女性と浮名を流しメディアから批判もされた。だが、今ではそれを「売り」にして、NHKBSで自転車に乗って全国の女性たちと交流をしている。役者などその程度のものと割り切って観ていかないとダメじゃないの?

 今、歌舞伎界に看板役者が減ってきている。本来なら68歳の中村勘三郎、67歳の坂東三津五郎、62歳の中村歌右衛門あたりが、大看板の仁左衛門(79)、玉三郎(73)と、若手の間にいて、歌舞伎を盛り上げていくはずだった。

 歌舞伎400年の中でも、現在が一番役者のいない時代である。そして、歌舞伎以外にも舞台を使うエンタティメントは綺羅星のごとくある。ジャニーズが歌舞伎をやるくらいだからね。

 そんな中にあって、四代目猿之助(48)の欠場というのは極めて痛い。十三代目團十郎(46)、五代目菊之助(46)、六代目勘九郎(42)、二代目七之助(40)と力を合わせて、歌舞伎界を盛り上げていかなければならない大切な時期なのに。

 当代猿之助丈の心の傷は大きい。でも、歌舞伎という大きな巨樹を次世代につないでいくためにも、どうぞ、舞台に復帰してくだされ。歌舞伎を知らぬ、文化伝統を愛さぬ輩はとやかく言うかもしれないが、とにかく歌舞伎を後世に継承していくために、元気な顔を観客に見せてくださいね。

 

急遽追記

 今朝の朝日新聞を読んでいたら、「天声人語」が、な・な・なんと、昨日の事件を扱っているではないか!今まで、だいたい2、3日遅れか、下手をすると数日後にネタとして使うなんてことを平然とやっていた。執筆陣が一新されたとのことで、タイムリーにニュースを織り込める能力のある天声人語氏が登場したか。内容はともかくも、その意気込みは善い。