時は流れているのだ

 正月というとやっぱり歌舞伎が風物詩なのだろうか。海老蔵獅童愛之助勘九郎七之助菊之助とチャンネルをまわせばどこかしらに歌舞伎役者が出ていた。 
 菊之助はニュースで見た。最初は菊五郎かと思ったら菊之助だった。ずいぶんと貫録が出てきたものだ。最初に菊之助を見たのは、彼が十代だった。まだ顔も子供子供していて可愛らしかったものである。それがもう37歳だもの、そりゃぁ貫録もつくわさ。海老蔵が37歳、獅童愛之助が42歳、勘九郎が33歳、七之助が31歳、考えてみれば、み〜んな中堅になっているんだね。オジサンは、この若者たちがずっと若いまま未熟のままと思っていたけれど、精進を重ねていい役者に成長していたんだね。
 オジサンは辛うじて六代目歌右衛門の舞台を観ている(ちょっと自慢)。もちろん五代目富十郎、二代目又五郎、十二代目團十郎、三代目猿之助、十八代目勘三郎などの舞台を同時代に観ることができたのは幸運だと思っている。その目線を変えずに海老蔵たちを観ていたようだ。もう少し時の流れをしっかりと踏まえて鑑賞していかなければいけなかった。
 十八代目勘三郎御園座で「身替座禅」の山蔭右京を演じたのは28歳だった。当代の勘九郎とどっちがどうだったかと言えば、ううむ、印象だけだけれど、遜色はない。勘三郎も精進の結果、勘三郎になったわけだし、勘九郎の真面目さひたむきさはまた定評がある。いつか十九代目勘三郎になってくれることを祈って待ちたい。
 そうそう海老蔵特集の中で、やはり注目をされていたのが市川福太郎だった。「ABKAI」のときも大活躍をしていた子役だが、福太郎は精進次第でいつか玉三郎に化けるかもしれない。楽しみだなぁ。
 伝統文化は、時の流れに身を任せて楽しむ、そんなことにようやく気がついたのじゃった。