距離

 昨日と今日の「天声人語」がどちらも「距離」を扱っていておもしろい。そのことがおもしろいだけで、内容は昨日も今日もアホらしい。

 まず昨日の「天声人語」である。安倍晋三元首相の蔵書展について取り上げている。下関のデパートで開催されているのを、わざわざ東京から見に行ったんだとさ。お暇なことで。こんなつまらぬ旅費を使っておいて、購読料を値上げしようなんざ、百年早いってんだ。

 それは措いておく。内容について。

《展示された本には、付箋が貼られ、線が引かれ、熟読の跡が残るものも少なくない》

読まれた本としては、古川薫『斜陽に立つ』、東野圭吾さまよう刃』、藤沢周平『密謀』などなど。昭恵夫人から提供されたもので、ワシャは下関まで行く旅費がないので、蔵書展を確認できないが、安倍さんは、百田尚樹『永遠の0』がとてもおもしろかったと言っておられたので、当然、その本も展示されていたのではないか。左翼論説委員は見ても見ぬふりをしたか(笑)。

展示会の企画提案者の言葉が記されている。

「安倍さんはお酒をあまり飲まなかった。寝る前によく本を読んだそうです」

 ワシャはお酒を飲むけど、寝る前に本を読む。

「読んだ本はどんどん処分したようだ。収集するタイプではなかった」

 うらやまし~。ワシャは読んだ本を処分できない性分なので、読んでない本も溜めていくこともあって、書庫からあふれた本が別の部屋まで侵食し始めている(泣)。

 後半、歴代首相の愛読書を紹介している。中曽根康弘は『パンセ』、竹下登は『狭き門』、小渕恵三司馬遼太郎の『竜馬がゆく』と、人の本からの引用で文字をかせぐ。

 ラストはこうだ。

安倍氏の90冊のうち我本棚にあるものを数えてみた。ちょうど10冊。読んだことのある本をいれるともう少し多いか。9分の1の重なりに、安倍氏との近きと遠きを思った。》

 それで?

 

 今日の「天声人語」はさらにひどい。こちらの論説委員は1990年代に支那留学をしていたんだとさ。

《大陸はいかに広いか。人の情はいかに深いか。多くを教えられたと思っている。》

 支那当局にあちこち連れて回られたんでしょう。なんのことはない、長期の観光旅行だわさ。「人の情」も深かったんでしょうね。ハニトラという錠に絡めとられてハイお仕舞。

《帰国するときは船にした。一衣帯水の関係と呼ばれる隣国との距離を、体で感じたかったからだ》

 ご苦労様。この船旅が1日半だったといい、支那の国内移動では3日3晩の汽車の旅も珍しくないので、日本は近いと実感したんだそうな。そんなものわざわざ手間をかけなくても地球儀を見れば一目で理解できますぞ。

 ここから「黄砂」の話にふって、蘊蓄を並べながら、最後に俳句を持ってきて、こう締めている。

《〈天をもて黄沙の国とつながれり〉高崎公久。とかく気色ばむことの多い日中関係だが、砂には国境もない。一晩の差で霞んだ空をともに見上げる近さを思う。》

 砂には国境はなくとも、人間に国境はあるんだ。千葉市の中国系「金属スクラップ施設」ではトラブルだらけで日本人が大迷惑をこうむっている。

《トラブル続出も「言葉が通じないし謝罪もない」…中国系「金属スクラップ施設」法律無視の「全貌写真」》

https://news.yahoo.co.jp/articles/859b6d87360629ec3f2cc136ea1101cf041109b6

 日本国内でこんな無法を行っている連中と、一衣帯水の関係など持ちたくない。さらに言えば、こいつらその敷地をフェンスで囲って、外部からの侵入をいっさい拒んでいる。ある意味国境をつくっているわけだ。さらにそのフェンスの内側から有毒なものを外に対してばらまいている。

 天声人語氏、千葉へ行って有毒な煙を見上げて「廃棄物」との近さを知れ!