朝日新聞という幻影

 今日の「天声人語」は日付を合せてきた。9月18日の満州事変勃発の日を持ってきたんですね。でも、これってさほどに難しいことでもなくって、ワシャの愛用している『日本史歳時記三六六日』(小学館)をパラパラとめくれば9月18日のトップが《満州事変がおこる》なのである。「満州事変」なら日本の悪行を指摘できるし、支那がどれほど日本の犠牲になったかも触れられるんで、こいつは絶好だと思ったんでしょうな。

 あとは、満州事変に誘導する導入部が必要である。天声人語氏は考えたんでしょうね。

「なんとなく無害で、読者が親和性を感じるような満洲がらみに話題はないか?」

 でね、SNSで「満洲国」「写真集」などのキーワードでさくさくっと検索をかけると、天声人語氏が枕に使った《写真家の船尾修さん(62)は九州の国東半島の山あいに住んでいる。》の船尾さんのツイートを見つけるのに時間はかからない。あるいは、船尾さんはアジア、アフリカの写真集や旅行関連本を何冊か出しているので、いくらボンクラコラムニストでもその程度の情報は持っていたのだろう。ワシャの書棚にだって『東京路上細見記 多摩編』(けやき出版)が、探せば出てくるはずだ。そんな船尾さんネタで、3分の2を埋める。

《そんな船尾さんが寄付を募って次の出版を計画するのは、旧満州の建物の写真を集めた本だという。》

 へえ~、そうなんだ、クラウドファンディングで出版をねぇ。と、思って「e-hon」で検索をかけたら、およよ、もう7月に出版されているじゃん。

船尾修『日本人が夢見た満洲という幻影 中国東北部の建築遺構を訪ねて』(新日本出版社

https://honno.info/kkan/card.html?isbn=9784406066655

 天声人語氏、どんだけ古い情報でコラム風の駄文を書いているんだ?もう船尾さんは出版してしまっている。そのくらいのこと確認しておけよ。恥ずかしい。

 

 後半の3分の1は、まさに朝日新聞節炸裂の洗脳文章である。

《戦争は最も弱い者たちに非情な苦しみを背負わせる。中国に残る建物は、そんな史実を目撃したもの言わぬ証言者なのかもしれない》

 目撃証言なんてしないって(笑)。

《きょう9月18日は(中略)中国では誰もが知っている特別な日。私たちも、忘れたくない。》

 天声人語氏、だから支那共産党に譲歩せよと暗に言っている。あの戦争で悪いことをしたのは日本なので、その罪滅ぼしに支那共産党の言うことには諄々と従いなさい。属国になってもいいでしょう。

 のっけから間違った情報を一面コラムに掲げて、なにが「私たちも、忘れたくない」って、オメーは船尾さんの情報をすっかりと忘れて書いているじゃないか!まずは大事な情報はしっかりと覚えていろ。

 そして「満洲事変」の話だが、この「事変」をここだけで切り取ってはいけない。その以前の日清、日露戦争あたりから歴史的事実を組み立てた上でなければ、軽々に「満洲事変」は語れない。

 支那で誰もが知っているのは、支那共産党プロパガンダによる「満洲事変」でしかない。朝日新聞のそれもご同様で、底の浅い左翼史観でしかなく、そんなものはすっかりと忘れ去ったほうがいい。

 真の歴史的事実はそんなところに落ちてはおらず、高い視点から全体を俯瞰できる歴史家の登場を待ちたい。