ある弔事

  昨日は、奥三河の信州、遠州境の里で縁のある方の葬儀があった。そこで西三河から片道3時間かけて車を走らせた。

 随分以前のことになるのだが、戦国期の織田・徳川、武田、今川に強い興味を抱いて書籍を漁り、現地調査を重ねていた時期がある。その頃に、三河の山間部にはかなり詳しくなった。その時期にその方にもお世話になったものである。

 葬儀は山あいの寺でしめやかに行われた。高齢の方であり、兄弟衆もすでに何人か鬼籍に入られて、10数人ほどの極々身内の弔いとなった。

 歴史のある寺の本堂での葬儀なので、「冷えるかな」とも思ったが、天気がよかったのと、住職が大きなストーブを2台出してくれたおかげで暖かく見送ることができた。

 身内もそれぞれが遠方ということもあり、初七日、四十九日法要まで済ませて、納骨まですることになった。なかなかハードでしたぞ(汗)。

 それでもね、集落北の小高い丘の杉木立に囲まれた墓地で、僧侶の朗々とした読経を聞いて、線香をくべていると、なんだか心が洗われた。仏は九十の天寿を全うし、彼岸へ旅立った。 生前は西三河の喧騒の中で仕事をして、家族を育て上げ、最後にこの静かな故郷の杉木立の中で土になって先祖とともにある。それも悪くはないなぁと思った。

 先週末に「死」についての勉強をしたところだったので、その知識が新鮮な状態での葬送である。いくらか、いつもの葬儀より、静かな心で俯瞰的に人の死を見つめることができたわい。