防衛力

 ワシャは、テレビで『決断』という大東亜・太平洋戦記物アニメを観ていた小学生の頃から「防衛力」というものを考えてきた。中学生になって中学校の防衛力が心配で、近くの岩石公園で軍事訓練をしたくらいだ。凸凹高校に進学したら、まさにその頃の愛知県の二流高校以下は群雄割拠の時代で、周辺の実業高校や私立高校、朝鮮高校などから、ワシャの高校はカモにされていて、恐喝とか暴行を受ける事件が後を絶たなかった。この時にも、真剣に「防衛力」に関して考えた。こんなことを考えていたので、勉強をする暇がなかったのね(笑)。

 高校同士の抗争で「防衛力」の必要性を肌身に感じた。被害が直接、生身の体にくるんだから国防の比ではない。こちらの防衛力が弱いとたかられて、今月の小遣いをそのまま巻き上げられるんだから。 生身の体を守るため、わずかな小遣いを守るため、無防備だった凸凹高校も自衛隊番長連合とも言う)を編成しなおして、再軍備を図らなければいけなかった。

 結局、凸凹高校はワシャの時代にワルくなったと言われたけれど、その代わりたかられる生徒は激減した。まじめな生徒はそんなことには気づかずに平和な青春を謳歌しているんだが、その陰にはワルシャワくんのような縁の下の力持ちがいたのである(エヘン)。

 凸凹高校自衛隊は自衛力の強化だけを図ったわけではなかった。それに並行して他校、とくに札付きの高校との交渉を進め、暗黙の「不可侵条約」を締結した。要は、そこのヘッドを呼び出して、こちら側の防衛力(恐さ)を伝えておくのである。

 例えば、あらかじめ札付き高校のヘッドが出入りする喫茶店とかスナックを調べておいて、そこに乗り込むのである。札付きのヘッドは、喧嘩はメチャメチャ強くヘビー級だったけど、頭の方はフェザー級なので、あらかじめその店のオーナー(昔ワルだった可能性が高い)を抱き込んでおくとか、周辺に10人程度の凸凹チームを配置しておくとかして・・・脅すのである。

 札付きヘッドはカッとなると何をするか分からない恐さがあったけど、多勢に無勢の上、オーナーまでが「和解せよ」と仲介すれば、大人しくならざるを得ない。一旦、相互不可侵条約が成立すれば、もし札付きが凸凹に何かワルサをした場合、「卑怯者、嘘つき、約束を守らないヤツ」というレッテルを貼られてしまってメンツが潰れる。そういうことには、頭と一緒で弱いんですね。要するに凸凹高校はハイブリッド戦を繰り広げていた(笑)。

 ワシャの交渉力は高校時代に培われてたものである。そんなことばっかりやっていれば勉強はできまへんで(泣)。

 そんなアホな思い出話はどうでもいい。日本国の防衛力のことである。  昨日の産経新聞に元自衛隊の織田空将が寄稿されていた。織田氏は言う。

《気になるところがある。「防衛力の抜本的強化」に「専守防衛」の見直しが入っていないことだ。》

 この「専守防衛」というのが長年にわたるまやかしで、これは敵の第一撃を許容するという防衛策で、そもそも国民の犠牲の上に成り立つ策なのである。

 織田氏は、防衛白書の「他国に脅威を与えるような強力な軍事力を保持しない」という文言を引き、「他国に脅威を与えない必要最小限の軍事力では戦争を予億市することはできない」と断言する。

 そりゃそうですよね。ウクライナ戦争で、ロスケが国境を越えてウクライナ領を侵してくる。鉄砲を撃ちまくり、ミサイルは落としまくり、空爆はしまくって、このためにどれほどの市民が殺戮されたことか。「専守防衛」はそれから反撃をする。それも日本は「防衛費GDP1%」という何の根拠もない枠をはめて、弾すら満足に揃えられないのである。全戦線で3日で撃ち尽くすという話すらある。笑い事ではない。日本が今、敵対しているのは、ウクライナで大虐殺を実行しているロシヤであり、ウイグルチベットなどで、民族絶滅を遂行している独裁軍事国家、支那なのだ。さらに暴走国家の北朝鮮が核弾頭を日本に落としたくってうずうずしている。

 この状況で、「敵基地攻撃能力」という言い方が不穏当で他国にいらぬ心配をさせるから言い方を変えろ・・・なんて言っている保守系議員のバカもいる。ホント、この国は救いようがない。

 織田さんはこう結論付けている。

《抑止が成立するかどうかは、相手が我が防衛力をどう認識するかにかかっている。「必要最小限」の防衛力で、「脅威も与えず」、相手が与しやすし認識すれば、抑止は成立しない。(中略)国民の生命、財産を守るのに「必要最小限の態様で」と命ずる国がどこにあるだろう。》

 東アジアの海に浮かんだ国がまさにそれでっせ。

 高校生でも理解できるこの理屈が分からない連中がまだ存在していることに、まことに不思議なものを感じている。