夢の話

 久し振りに夢を見た。その夢の後に目が覚めたら午前6時だった。夢はこんな話である。

 ワシャはその日、凸凹商事の委員たちと視察に行く予定になっていた。いつもどおり会社に出勤しよう自宅の居間で準備をしているのだが、気になって手帳を見てみると、およよ、集合が午前8時30分だと思っていたのが、8時00分になっているではないか。時計を見ればいつもどおりの時間で準備しているから8時10分。凸凹は集合後10分には出発するので、おいおい~もう間に合わんヤンケ。

 とにかく事務所に連絡をしなければいけないと思い、ケータイで事務所をコールしていると、突然、来客があったのだ。

 凸凹の社員だった頃、同僚だった男Iだった。幼稚園からの腐れ縁で、小中高大とも違う学校なんだが、なぜかその時々に縁があった。凸凹に就職してみたら、ワシャの1年前に入っていやあがって、職場の先輩になってしまった。まぁ最初は先輩風を吹かせていたが、2週間くらいで、鼻っ柱を折ってやって引き摺り下ろしてやったのだった。その後、会社の運動会とかスキーとかで遊んだのだが、どちらにしても運動神経のいいワシャの後をついてくるしかなく、必然的に職場グループのリーダーはワシャになった。ちょっと小太りなヤツで、喧嘩もそれほど強いわけではなかった。しかし、頭のいいヤツで、高校はこのあたりでもトップの進学校に入っていて、高校時代にワシャらと遊んでさえイナければ、間違いなく東京大学にご入学していただろう。  そいつが社員時代の格好でワシャの家の今に現われた。似たような色のシャツを着た男を連れているので、なにかの点検か調査に来たんだろうと思った。

 ワシャは遅刻の言い訳の電話をしようとしていたので、ヤツの存在が邪魔だった。しかたがないのでケータイを持って2階の寝室に行って電話を掛けようと思っていると、ヤツは2階まで上がってきて部屋に入って来るではないか。  いい加減にしろよ・・・ってところで目が覚めた。

 夢を分析するとね、凸凹商事の委員の視察ってのが味噌で、この委員ってのがけっこう鬱陶しいのが多くって、このところ「前例踏襲」「ルール順守」「長老指導」を振りかざしやあがるから、なにかと衝突していたのだ。とはいえ、切れ味は刃こぼれした剪定ばさみと村正くらい違うから、真っ向から議論を仕掛けてこない。多数を装ったり、他のグループを引き合いに出したりと、やることが面倒くさいのだ。

 この面倒なところが、入社した当時の凸凹第三営業部の雰囲気を思い出させたのかなぁ~と想像する。あの頃の「第三」は吹き溜まりと言われ、そこの先輩たちは、口ばっかり、経験だけで先輩風を吹かすような連中だった。まぁ3か月くらいで締めましたけどね。

 それがIを呼んだのかなぁ~と思っている。

 I、すでに亡くなっている。凸凹商事の出張先で倒れたまま帰らぬ人となった。あれから20年余が過ぎた。