突破者

 今朝の朝日新聞に作家の宮崎学さんの訃報が載っていた。ガーン!てなもんですわ。

「なごや博学本舗」

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主催で、宮崎さんを名古屋に度々お迎えして講演会が開催された。それに何度か参加させていただいた。そもそも「なごや博学本舗」の「学」は宮崎さんの名前に因んで命名されているんですね。

 朝日新聞は触れていなかったけれど、宮崎さんは京都伏見を本拠とするヤクザ、寺村組の組長の息子だったんですね。父親は会津小鉄の前身である中島会のトップから盃をもらって極道になり、その後、会津小鉄創立者の一人に名を連ねるほどの男だった。

 このあたりは宮崎さんの著書『突破者』(南風社)に詳しい。この本でワシャの好きなところが、宮崎さんが早稲田大学に合格し、まったく「早稲田大学」のことなど知らない父親との別離のやりとりのところ。ここは感動的だった。金にシワかった父親が真新しい1万円札が50枚入った封筒をポンとくれたと宮崎さんは書いている。現在の貨幣価値でいえば500万円ほどだろう。ここに不器用な父親の愛情の形が垣間見える。

 その後、早稲田の学生生活が始まる。高校時代から共産主義に傾倒していた宮崎さんは早稲田でも学生運動に没頭した。そんな中でこんなことを記している。

《日韓闘争では、早大の他党派の連中や、東大をはじめとする他大学の日共系学生とも知り合いになったが、そのなかでも傑出してユニークだったのは新崎智である。》

 出たー!新崎智~。続けます。

《新崎は現在、呉智英ペンネームで辛口評論に健筆をふるっている。》

 新崎さんとは呉さんのことで、お二人はその後、終生の友となっていったわけですね。

 この『突破者』には、若き呉智英が宮崎さんの筆で見事に描かれており、後の呉さんを知るものとしては、楽しく読ませていただいた。

 

 今、ワシャの書棚には20冊ほどの宮崎さんの著作がある。サイン本もありまっせ。

 ご冥福を祈りつつ、再度、宮崎さんの本を読みなおしてみようっと。それにしても格好いい人だったなぁ。

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