生涯勉強

安城落語会のことども」の続きを書こうかと思ったんだけど、考えてみればそれはいつでも書けることだった。それよりも昨日の楽しかったことを記録しておかないと忘れてしまうので、そっちを優先することにした。

 昨日、午後1時の快速で名古屋へ出た。某所である会が開催され、それに参加するためである。会の主役は・・・え~い、この日記を読みにきているヘンな人たちは、まぁ身内のようなものですから、言っちまいますがね、数多の知識人の誰もが認める知の巨人、日本マンガ学会理事でもある呉智英さんであった。このクソ武漢ウイルスの蔓延以降、なかなかご尊顔を拝することができなかったが、ようやく呉さんの講義を受けるチャンスが巡ってきた。

 そりゃ改札を抜ける足取りも軽やかですわなぁ。ときにスキップなんぞも踏んだりして(笑)。

 さて、某所の会である。呉さんの高弟がずらりと並んだ。ざっと見渡す限り、ワシャが一番ヘッポコな弟子ですな。知的レベルも浅薄で、本の読み込みも甘い。呉さんの講義にもっともらしい顔をして頷いてはいたけれど、5割がた耳から耳へと抜けていく。だから一所懸命に片耳を押さえて頑張りましたぞ。これでようやく8割がた、頭に残ったと思う(やれやれ)。

 講義のテーマは、「ロシヤ革命」と「量子力学」について。

「ロシヤ革命」は多少だが世界史をなめているので漠然とはわかる。しかし物理学である「量子力学」とどう関係してくるのかが楽しみだった。

 講義は、ドストエフスキーの『罪と罰』から入って、ソ連ではドストエフスキーを読んでいると共産党にはなれないとのことで、共産党員にはトルストイが薦められたとか。

「物と事」、「物か事か」、「機縁」から仏教の話になり、「リビングにいる人と犬とハエ」の話になっていく。

 さらに講義は発展して「ロシヤ革命と哲学」の話になる。後に政治闘争を繰り返し、スターリン独裁帝国をつくっていったソ連も、当初はしっかりとした思想家、哲学者が指導していたことがわかる。しかし、彼らも知的レベルの低いスターリンの粛清に会って、亡命あるいは処刑という末路を辿っていく。頭脳を捨ててしまったので、それでソ連はパープーな体制になって、1991年に消滅してしまったわけ。

 さらに「めっちゃ天皇」発言や「EU=神聖ローマ帝国論」、「ロンドンシティに入れないエリザベス女王」について言及され、どれもが目から鱗の情報ばかりで、また凸凹商事の会議での発言に盛り込むネタができましたぞ(笑)。

 なにしろ2時間半に及ぶ講義は、久々にワルシャワのボンクラ脳に刺激を与えてくれた。知の巨人である呉先生の「智」に触れることは多くの大衆にとって救済となることと思う。この「叡智」は残しておかないともったいない。呉さんは多くの文章を残しておられるが、映像として肉声を残しておくべきではないだろうか。呉さん、とてもシャイなかたなので「いいよぼくは」と遠慮されるかもしれない。しかし、その言葉を、考えを後生に残しておくことが、今、実際に接しているものの務めではないだろうか。

 講義が終わって部屋の片づけをしているとき、身支度をしておられた先生に「一つ質問をさせてください」と厚かましくも申し出た。「いいよ」とのことだったので、ホワイトボードに「老虎千里」という文字を書いて、「こういう言い回しが妥当でしょうか?これをどう見ますか?」と尋ねた。

 呉さんは、眉間にしわをつくってボードの字を眺めていた。しばらくして「なんだかよく判らないねぇ」と呟かれた。「何を言いたいのか、なんだかヘンな漢字だね」と付け足された。

ワルシャワ「やはりそうですよね。大漢和辞典でも調べたんですが、明確な意味が探せませんでした」

呉「どこから持ってきたの?」

ワ「これ、愛知県知事が年頭の挨拶で使った四字熟語なんです」

呉「ふ~ん」

ワ「意味は・・・積み上げてきた力を持つ虎が、さらなる飛躍につながるビッグプロジェクトを千里を走るほどのなみはずれた行動力で前進させる・・・という決意をこめた言葉だそうです」

呉「まったく解らん」

 それでワシャが「これ知事の造語だそうです」と言うと、呉さんは破顔され、「それならいいよ、何を言っても自分はそう思うって言えばいいんだから」と答えられた。

「『めっちゃ天皇』と同じですか?」というワシャの問い掛けには、苦笑されただけで部屋を後にされた。

 その後、呉さんは帰宅され、残ったメンバーと大曽根へ出て軽く食事をとった。「ブリューパブおおぞね」の黒ビールが美味かった。さらにアテとして注文した「塩付け豚バラ肉と白菜のクリームパスタ」が絶品だった。「角の豚肉を煮込んだシチュー」も箸がすすんだ。この店は今年の「七味」に加えてもいいなぁ。

 ということで、楽しい夕べは過ぎていったのでありました。めでたしめでたし。

 

 ちなみに「めっちゃ天皇」についてはこちらをご覧ください。解りやすいですよ。

https://finders.me/articles.php?id=1472

 興味深かったのが、こちら。 https://news.yahoo.co.jp/articles/5c0c104850a69be6fe840e9fe02fae88c586c659?

 移動の時に友達が、「タクシー配車アプリ」を使ったのだ。連絡をして3分でタクシーがやってきた。時代は確実に変わってきているのう。