リアリストとドリーマー

 作家の門田隆将氏がいいことを言っていた。

《最高級ホテルでもてなされた大江健三郎のような人は“中国を礼賛し、中国の暴力・汚さを見て見ぬ振りする。反対に庶民社会を観察し、残酷・怠惰・人情・暴虐全てをありのまま描く人は右派とされる”と楊海英氏。ステレロタイプな捉え方はいつまでも変わらない。日本ではリアリストは“右派”とされるのだ。》

 門田氏は、現在の日本を「ドリーマー(夢見る人、観念論の人)」と「リアリスト(現実主義者)」の対立の時代と捉えて、旺盛な執筆活動、広報活動をされている。門田氏の言われるとおり、「現実を見ようよ」という人たち、例を挙げれば「虎ノ門ニュース」に出て、論陣を張っている方々は、みんな「右」というレッテルを貼られている。

 

 ワシャのずっと尊敬してきた作家・評論家のラインナップは、司馬遼太郎倉本聰呉智英日垣隆などなど。この人たちを「右」というバカはいないと思うが、この人たちの視点・思考は客観的であり、具体的、現実的、合理的なことを言っている。

 だからワシャはこの人たちの文章を愛読し、稚拙な脳の肥やしとしているのである。「虎ノ門」の論陣たちの本も読んでいるが、歯ごたえは司馬さんらと同様のものを感じている。

 対して、ドリーマー論客というのがいる。代表的な人物としては佐高信ちゃんですね(笑)。日垣隆さんは「ゴミ虫」とまで言われてもファンを自任しているくらい楽しい乱客(ろんきゃく)の佐高ちゃん。この人、本を何冊も出しているが中身はスカスカで、ワシャは本を読むといたるところに付箋を打つのだが、彼の本にはほとんど付箋が打たれることがない。こんなんでも読者が付くんだね。というワシャもヘンなもの見たさで買っているんだけどね(泣笑)。

 今朝の中日新聞に本の広告が出ている。『出る杭の世直し白書』という本なのだが、執筆陣が腰を抜かすラインナップだ。鳩山友紀夫、孫崎享前川喜平植草一秀って、みんな佐高ちゃんのお仲間ばかりではあ~りませんか。こんな本を出版する会社があるんだね。さらにこれを買う読者がいるんだね~と、疑問を持ちつつ、「どんなハチャメチャなことがかかれているのだろうか」と興味をそそられている自分がいることも確かである。その内に大型書店に行ってパラパラと眺めておくか。ワシャは速読者ではないが、それでもこの手の本は簡単に読めるのでありがたい。10分でいいな。

 ということで、ワシャはリアリストの本もアホの本もどちらも読んでいるのであった。