弥栄

虎ノ門ニュース」で、ジャーナリストの有本香さんが、初代宮内庁長官田島道治のしたためた「拝謁記」を取り上げていた。

 2019年10月の「文藝春秋」に関連記事があったので、気にはなっていた。さらに、やはり2019年9月の「AERA」にも、記事があったので読んではいたが、そもそも「拝謁記」自体が書籍化されておらず、具体的なものを見られるわけではないので話題にすることもなく失念をしておりました。

 でもね、門田さんが話題にしてくれて、2~3の昭和天皇のお言葉に触れることができ、それがとてもよかったのでメモっておきたい。

 

◇◇◇

所謂反米思想が一般ニある程度あるは已むを得ぬも

それに乗じて共産のものが共産主義の為に美名を平和とか

戦争反対とかいつて色々やるのは困つたものだ、

これハ丁度戦前ニ軍閥者が忠君愛国といふやうな

当時ニあつては一寸文句のいへぬ事を看板ニして戦争へと

かりたてたのと同じであつて誠に困つた事だ

(「拝謁記」昭和26年12月9日条)

◇◇◇

 

 すごいですね、昭和天皇共産主義の如何わしさを昭和26年の段階でしっかりと把握しておられる。「平和」とか「戦争反対」とか「SDGs」の美名に隠れて「共産主義」「全体主義」を掲げて色々やるのは困ったものだ、と言っておられる。「SDGs」は言っておられないか(笑)。

とにかく、文句の付けづらい看板、今だと「環境」や「SDGs」などですが、これらをかざして、日本を戦争へと駆り立てていく。

「環境」や「SDGs」が戦争につながるわけがない・・・・・・というのはあまい。戦争というのは、兵器を使ってドンパチやるものだけではないですよね。サイバー戦もあれば、経済戦もある。宇宙空間を使った戦争だってもう始まっている。つまりありとあらゆることが、明確に言えば、共産主義国家、全体主義国家との生き残りを賭けた戦いなのである。

 もう「世界市民」だの「人類は兄弟」だのという戯言の時代は終わった。支那では、同じ兄弟であるウイグル人の臓器を取り出して世界の富裕層に売り出しているよね。さらにウイグルの女性には支那人の19倍の避妊手術が施され、妊娠ができない状態に追い込んでいる。これって民族浄化ですよね。

 そういった現在の状況を見て、昭和天皇のお言葉に接するととてもありがたい。このようなことも仰っておられる。

 

◇◇◇

警察も医者も病院もない世の中が理想的だが、

病気がある以上は医者ハ必要だし、乱暴者がある以上警察も必要だ。

侵略者のない世の中ニなれば武備ハ入らぬが

侵略者が人間社会ニある以上軍隊ハ不得已(やむをえず)必要だといふ事ハ

残念ながら道理がある。

その故正直ニ言へば正当な武備と文化の并行(へいこう)両ニまつといふ事だが、

今それが言ヘぬから困る

(「拝謁記」昭和27年3月11日条)

◇◇◇

 

 仰るとおりでありますな。侵略の野心を隠さない支那共産党のない世なら、日本の武備はいらない。しかし、現実に目の前に何百発という核ミサイル、日本の何十倍という軍事力を持っている支那共産党がある以上、日本が自衛隊を持つのは当たり前というか、そうすることを妨害するものがあるとするなら、それは敵に通じたものと言わざるを得ない。要は「スパイ」なんだが、残念ながら日本という能天気な極東の国には「スパイ防止法」がないんですね。だから何もできず、マヌケなことに国の中枢、大企業の中にまで、スパイが浸透しているというのが現実なのである。

 これは笑い事ではない。国益をそいつらが損ねているのである。なんで日本国民だけが、日本企業だけが高い電気量を払い続けなければいけないのか?日本人だけが、高い石油を買わなければならないのか?言いたいことは山ほどあるけれど、そのことを戦後間もないころに、昭和天皇が喝破しておられたことに強い衝撃を受けた。

 昭和天皇が、ソ連などのコミュニストの罠にはめられなくてよかった。まぁコミンテルンそのものが阿呆だったこともあるんだけど、日ソ不可侵条約を踏みにじって戦争を仕掛けてきたソ連軍に対し、みごとなまでの戦いを見せた占守島守備隊の力も大きかったろう。

 ともかく、昭和天皇がご無事で、その後も日本が天皇を戴く国として続いてきたことを寿ぎたいし、その国に生まれたことを感謝したい。

 昭和天皇の誕生日に一日遅れてしまったが、そんなことを思った。