今朝の産経新聞から《追想 司馬遼太郎―没後25年―》の連載が始まった。そうか~、司馬さんが彼岸に行かれてから、もう四半世紀も経つのか~。昨日、書いたようにワシャの粗末な脳みそは5割くらい司馬さんで形成されているので、新聞記事でも「司馬」という字に鋭く反応するのだった。
この連載の初回は映画監督の原田眞人氏である。
原田監督、根っからの司馬遼太郎ファン。そのことはあちこちのメディアで言っているのでかなり有名な話ですな。彼が司馬作品中、もっとも好きなものが『燃えよ剣』、これははからずもワシャの大好物と同じであった。
やっぱり『燃えよ剣』ですよねぇ。原田監督も言っているが《筋を通した生き方をした土方歳三》がなにしろ格好いい。
土方歳三の写真が残されている。これが洋装でロングヘヤーで、若かりしころの、ジャッキー・チェンに似ているような。さらに生き方も波瀾万丈で鮮やかで、信念がまったく微動だにしなかった。冷酷ではあったが、己の命に対しても同様で、ブレがない。死にざまも見事であった。にも関わらず、下手な俳句が好きで駄作をいくつも残すという茶目っ気もある。この季節ではこれがいいか。
「梅の花 一輪咲いても 梅は梅」
夏井いつき先生なら即「才能なし」に分類するほどの駄作だ。それでも土方歳三という悲劇の主人公の句だと思えば、そこになにがしかの感慨もないわけではない(笑)。
こんな魅力的な人物が物語にならないわけがない。司馬作品以外にも土方歳三が主人公の話は多くある。さらに彼がつくった新選組という組織は、それがなければ幕末という時代、大舞台そのものが成立しないだろう。それほど大きな光彩を放つ存在と言っていい。
これが原田監督の手で映像となる。とても楽しみだ。
原田監督は記事の最後をこう結んでいる。武漢肺炎禍で、日本人がどこへ向かうのかが解らないと前置きをして、だから《今こそ、過去に目を向けるべきだし、司馬作品が活きてくるときだと思います。僕は「司馬史眼」を強調したい。研ぎ澄まされた眼で歴史を見つめること。そこから未来に向かう力が養われるはず》と言う。
ワシャもまさにそのとおりだと考えていた。ゆえに昨日の日記なのである。