初場所概観

 前頭筆頭の大栄翔が13勝2敗で優勝した。このところ平幕優勝も珍しくないのでさほどの驚きはなかった。だか、昨年初場所の徳勝龍、7月場所の照ノ富士の平幕優勝とは違って、上位総なめの優勝で、これこそ大相撲の醍醐味、観ているほうは楽しくてしようがない。すっかり横綱がいないことを忘れていましたぞ(笑)。気持ちのこもらぬ横綱土俵入りがなくて、すっきりしたくらいだわさ。

 欲を言えば、大関陣にもう少し踏ん張ってもらって、最終盤まで優勝争いに絡んでほしかった。とくに正代、14日目の照ノ富士戦は勝って2敗で千秋楽までワクワクさせておくれよ。照ノ富士の復活が著しいので、まぁ健闘はしたのだろうけれども大栄翔を独走させてはおもしろみが半減する。そういった意味では大関の仕事を全うできなかった。とは言っても13日目までは頑張ってくれたんで良しとしよう。

 今場所の顔といえば、大栄翔に次いでパンの山だと思っている。パンの山じゃなくて明瀬山でしたね(笑)。幕内で二番目の高齢で、よく健闘してくれた。この関取、愛知県出身で唯一の幕内力士である。好角家の愛知県人としては、ついつい応援したくなってしまうのです。

 明瀬山

http://www.sumo.or.jp/ResultRikishiData/profile/3056/

 この人とても頭がいいと思う。インタビューの受け答えでも「そうですね」「そうっすね」という力士特有の接頭語を言わない。発言も理路整然としていて、分かりやすいですね。さらに笑顔がいい。顔立ちも体型もぶちゃいくなんだけど、どこか憎めない、ブサかわいいといったら失礼かもしれないが、パン生地のような腹の贅肉といい、体に比べてほっそりとした足腰といい、大相撲でもこんなタイプは双津竜以来ではないか。前半を6連勝で勝ち進み、期待をさせておいて5連敗する。応援しているほうはハラハラしっぱなしでんがな。心配をさせておいてトントンと2つ勝って勝ち越し。さらに白星を重ねて、優勝争いにも名前が挙がっていた。千秋楽に大して好調でもない輝にコロリと負けて9勝6敗。もう1~2番勝っておいてくれると番付がかなり上がったのに、ファンとしては残念だわさ。

 

 そうそう今場所はこんな話題があった。

《大相撲・初場所中継でネット騒然「溜席の妖精」に話を聞いた》

https://news.yahoo.co.jp/articles/456c29cbd5fe12b65df4d4a1972ffdd90fdaeacb

 国技館、向正面東花道脇の溜席に、背筋をピンと伸ばして正座で観戦する上品な女性がいた。実はこの人、先場所もまったく同じ場所に座っていたのだが、とにかく姿勢がいい。まったく正座を崩さず、凛とした姿で土俵を見つめている。この人、勝った力士が花道を下がる時も、通常のファンならば、その力士を視線が追うのであるが、顔も視線も土俵に向けたまま微動だにしない。胸の前に揃えた細い手で細かく拍手を送るのみである。姿勢を崩しリラックスして観戦する女性は多い。ときにはスカートの前をはだけて声援を送る女性もいた。もちろんスポーツ観戦であるからそれでいい。しかし、そんな興奮の坩堝にあって、ひとり超然と土俵を見守っている。上記の記事では「溜席の妖精」と表現していたが、ワシャは「溜席の女神」と呼んでいる。

 とくにワシャは、高校時代からズッチャラズッチャラ歩いていたので姿勢が宜しくない。ですから、「溜席の女神」を見つけるたびにテレビ桟敷で姿勢を正して観ているのでした。

 あ~~初場所はおもしろかった。なんにせよ、今の両横綱は要らないな。