中途半端

 いやはや~。

 昨日、ある集団で、知多半島の先っちょにある温泉ホテルで、宴席をもった。年初からの武漢祟りで、ある集団の懇親会のようなものがことごとく潰れたために、急遽、開催することになった。それも泊まりで。なにも県内で泊まりの宴をしなくてもねぇ。

 とはいえ、ワシャは、宴席好きである。気のおけない仲間と飲むのが一番なんだけど、初見の人とでも胸襟を開いて――開き方の差はそれぞれあるけれど――諸々の情報交換をする。これはまことに有効なコミュニケーションだと思っている。さらに言えば、アルコールで心がほぐれてくるから、相手の本心を見極めやすい。だから、交渉事もまとまる可能性が高いと思っている。

 ただし、泊まって宴会というやつははなはだ苦手である。個別の部屋が用意されているならまだしも、大部屋で何人かで同宿するというのはいかがなものか。

 昭和の慰安旅行というんですか、社内旅行とか課内旅行とも言うようだが、これがワシャは昔から嫌いだった。

 そもそも宴席は一席でいい。そこで2時間ほど、余韻が残れば3時間、じっくりと腰を落ち着けて酌みあえばよろし。ぐだぐだと二次会、三次会を梯子をするのは、ワシャ自身が自分の思考をコントロールできなくなるし、相手も酩酊がすすむと場の雰囲気がデンジャラス(笑)になるので避けたい。

 昨日のは、まさに慰安旅行というやつで、半島の先っちょの温泉ホテルに集団で停まって、部屋飲みから始まって、宴席、二次会、さらにまた部屋飲みと続くものであった。こりゃたまらん。

 まぁ急に決まった旅行だったので、すでにワシャには翌日(つまり今日)に予定が入っていた。だから、宴席には行くけれども、宿泊はできない旨を幹事に伝え、その上で参加した。それでも先輩方は「ワシャくん、泊まれないのか」と何度も誘ってくれるけれども、所用があるのと、だらしない寝顔を人に見られたくないという確固たる信念から、宴席がお開きになるのを潮に、メンバーたちに無礼を詫びつつ退席をした。

 すでに玄関には予約をしておいたタクシーが着いている。これも一悶着あってね。フロントでチェックインするときに、「タクシーを呼んでおいてもらえますか?」と尋ねると、「トラブルがあると困りますのでお客様からタクシー会社にご連絡を入れていただいております」と言うではあ~りませんか。田舎の温泉ホテルだねぇ。おそらく何度もそんなトラブルがあったのだろうが、それにしてもタクシー1台手配できないとは。

 最初に引っ掛かりがあると、温泉ホテル全体の印象に関わると思うのだが、受付の若いネーチャンはそんなことには無頓着だ。でもね、リッツカールトンのサービスを知っているワシャから見ると、あちこちに改良するべき点が目についた。とはいえ、ワルシャワは大人ですから、そのことを口にしてほかのメンバーに悟られるようなドジはしませんよ。でもね、日記には書いておきます。

 1Fの土産物店に人がいない。10分程の間に、ワシャを含めて数人の客が店内をウロウロしていた。大した土産は並んでいないが、それでも店員がいればなにかしら買おうと、皆さん、思っていただろう。だが、買えない。

 2Fの宴会フロアのトイレは使用できず、「1Fか3Fをご利用ください」という張り紙。

 駐車場側の裏口からホテル内に入った。そこは自由に出入りができるのだが、検温は番頭の立っている玄関のみ、そっちにまわって検温と手洗いをしろと言う。

 料理は、運ばれてくる度に、係のニーチャンが解説を加える。どの料理も見ればなんだか判るシロモノなのに。その上、熱燗はぬるいし、おちょこはないし、タコは丸ごと出てきて「テメエで勝手に切って食え」だし。

 この辺りでは有名な温泉ホテルらしいが、30数年前に訪れた時と、まったくサービスの質、内容に変化はなかった。出てきたお仕着せの料理も、刺身を二切れ三切れ口にしたくらいで、塩の入っていた皿でぬる燗を飲んでいた。あとは冷めた貝の味噌汁を舐めたくらい。

 宴会は、ワシャの大嫌いな「飲み放題」で、午後5時45分に始まって、きっかり7時45分にはお開きになった。でも、帰宅を前提にして飲んでいるワシャにはありがたい。そのままタクシーに乗って、一路最寄りの鉄道駅まで・・・が遠い。5000円かかった。

 さらにそこから名古屋に出て、東海道本線に乗り換え自宅近くの駅に降り立ったのは午後10時半だった。

 名古屋あたりのホテルに泊まって(ワシャは帰るけどね)、気の利いた居酒屋で、美味しい肴を一品ずつ注文して、食べて飲んだ分だけ払って帰る。これでいいと思いますよ。