日本軍人は素晴らしい

 昭和16年の今日、マレー半島の東の海域で、日本軍の航空機が、北上するイギリス東洋艦隊を発見する。2日前に日本と米英オランダは開戦しており、当然のことながら、戦闘となった。しかし、このころの日本海軍は圧倒的に強く、3時間にわたった攻撃で、プリンス・オブ・ウェールズなど戦艦2隻を撃沈した。

 しかし、これだけの被害が出ながらイギリス側の戦死者は少なかった。それは、救出作業にあたるイギリス駆逐艦の妨害を日本軍がいっさいしなかったことによる。

 戦争末期に、日本の制空権を奪ったアメリカが、日本の山野で一般の市民を的にして、射撃を楽しんだのとはえらい違いだ。

 戦闘終了後、日本機は敵将兵の健闘をたたえて翼を振って敬意をしめした。さらに、後日現場に花束を投下して、敵味方の戦死者に捧げた。武士道が生きている。

 

 こんな話もある。この海域で任務にあたる駆逐艦「雷」、艦長は工藤俊作中佐、お写真を拝見すると、まあるい顔にくりっとした優しげな眼を持つ若者である。とても戦闘者という雰囲気はない。集団の中でもどちらかというと目立たぬ、物静かな人という印象だ。

 この人の操舵する「雷」が、この2か月半後に再び海戦に参加する。インドネシアのスラバヤ沖海戦である。この時も日本はイギリス海軍に勝つ。そして敵艦を何隻も沈没させている。

 ワシャの手元に1冊の本がある。恵隆之介『敵兵を救助せよ!』(草思社)。表紙は、「雷」艦上で椅子に腰かける工藤艦長が微笑んでいる。

 この本は、英国兵422名を救助した感動の秘話を披露している1冊で、真の武士道を見せてくれた工藤中佐の人となりをしっかり伝えてくれている。

 先の戦争は、確かに愚挙ではあった。多くの日本人や他国の人を犠牲にした悲しい歴史ではある。しかし、だからといって我々の父祖がやったことをすべて否定してしまうのはいかがなものか。愚かな軍事官僚は数多いた。戦時下において残虐なことをした軍人もいただろう。それはもちろんきっちりと反省をして非を認めるべきであるが、そうではない多くの軍人・兵士・軍属たちが、国のため銃後の家族のため、懸命に戦ったことはしっかりと認めるべきだ。