議員という賤業

そこまで言って委員会NP」がつまらなくなって久しいが、昨日の番組はおもしろかった。というか、全体はさしたる話もなかったが、「ハゲー!」で議員を辞めた豊田真由子さんの早口の話が一部おもしろかった。「金と政治」をテーマにしたコーナーで、広島の河合夫妻の話題から、国会議員の立ち位置に言及した時の発言である。

「国会議員というのは、新人・若手なんて地元政界では一番下っ端なんですよ。ヒエラルキーの一番下で、もうみんなからマウントとられて、もういっつも頭下げて、どんな不条理なことも、お金のこととか以外は、どんなことを、何を言われても耐え忍ぶんですわ。なんで耐え忍ぶかというと、自分のためではなくて、この地域や国をよくしたいと、思って議員になろうとか、成り続けるためには、そこでいじめられても応援してもらえないと議員にはなれないんですよ」

 この発言、業界を知っている者にとっては、かなり正鵠を射ていると思うはずだ。新人・若手・候補者などは芸者と同じだと思えばいい。お座敷がかかれば、どこへでもすっ飛んで行き、笑顔でとにかく頭を下げ続ける。地元の有力者にはマウントをとられ、支援者と名乗る連中にはマウントをとられ。

 例えば、新人の衆議院議員が当選しました。その祝いの会に新人議員より上席の人が何人いるでしょうか?首相や閣僚が来ない限り、社会的には衆議院議員の地位が一番高いはずだ。席は一番上かも知れないですよ。でもね態度は現役の古参議員が当然上座なんですよ。そればかりか、元議員というのが幅を利かせているし、県議会議員の古株も横柄だ。さらに自治体の首長たちは根無し草の議員とは違って「城持ち」であるから、余裕をかましている。その上に後援会長、各関係団体のボスなどが議員にマウントをとってくるから、生半な神経では国会議員なんか務まるものではない。

 昨今、もののいい国会議員が減ってきているでしょ?作家の百田尚樹さんは「国会議員なんかバカばっかりだ」と言って憚らない。

 でもね、豊田さんの話を聞くと、確かにこうまでして議員にならなければならないのか、という疑問を頭のいい人は当然考えてしまうだろう。その結果が今の政治と言っていい。

 ワシャの地元にXという市会議員がいる。豊田さんの言う政治ヒエラルキーからすれば下っ端の下っ端、下僕・奴隷といったところだろう。新人であり、地元の推薦も曖昧で、政党活動もせず、仲のいい友人の力を借りて選挙戦を勝ち抜いた。選挙前に半年くらい暗中模索でやっている時、地元の有力者から「あなた頭が高いのよ」と注意を受けたそうだ。あるいはヒエラルキーが上の議員の関係者から「おまえ評判悪いぞ、頭を下げろよ」と度々言われたという。

 しかしX、ガキの頃から知らない奴に「媚びること」は絶対にしてこなかった自負はある。とにかく卑屈に腰をかがめてお辞儀する前に、対等に議論し合えばいい。それは年長の人であろうと年下であろうと、地位が上だろうと下だろうと、お互いに敬意をもって、まじめに議論すればいいわけで、とくに卑怯なのが投票という「空気」のようなものを人質にとって議員にマウントを仕掛けてくる連中だ。

 

 こんな旧態依然とした政治体制が国会から市町村議会にまで蔓延している。これじゃぁ日本は「政治は二流」と言われても仕方がない。