政治資金パーティーの愚

 前にもちょいと書いたけれど、縁あって何人かの政治家の政治資金パーティーに顔を出したことがある。それほど大物の政治家ではなく、中堅・若手の国会議員・知事程度のなんですけどね。

 会費は一律20,000円、業界相場である。会費の9割がたは揚がりとして主催者が持っていく。だから食べ物は大したものは供されない。ウロウロしていようものならあっという間に料理はなくなっている。

 出し物も毎回同じで、冒頭に、マスコミに顔の売れている議員(同じ派閥)などがやってきて、もっともらしいことをウダウダと語る。その後、地元の国会議員や首長、県会議員の何某などが段に登って国政や国際情勢について語る。申しわけないが、どの話もすでに情報として出ている話ばかりで、しっかりアンテナを立てている人なら政治資金パーティーに行かずとも周知のことばかりだ。

 森喜朗さんのゲストスピーチも聞いたことがあるが、受けを狙うんだけど、ちっとも面白くなかった記憶がある。あれなら二つ目の落語家のほうがよほど笑える。

 今話題の萩生田さんのスピーチも聞いたけれど、あまたのパーティー参加者を前にしてありきたりの国政の話をするばかり。「萩生田派を立ち上げる」てなことは絶対に口にしなかった。さしたる理念も理想もない地方議員、昨今の噂では金に群がる自民系だそうだが、そんな連中のまえで具体的な内情は話せませんね、萩生田さん。

 ざっとね、政治資金パーティーを俯瞰すると、ざっと300人くらいは来ていた。来ていないがパー券を購入する企業もあるから、500枚を売りさばいたとして1000万円の売り上げ。その内の100万円が会場費、飲食費、講師足代などに消えるが、手元には900万円が残る仕組みである。こいつはうまい商売だね。そして派閥からは盆暮れに「氷代」「餅代」というなにがしかの小遣いが支給され、これと併せてどこかの闇に流れていく。

 令和の時代になって、未だにこんなことをやっていてはダメだ。そもそも政治家の質が低下する。きれい事を言うようだが、政治家が金に執着した瞬間から政治屋に落ちる。だから政治家は身ぎれいにしておくに限る。運転手付きの高級車に乗って、大きな事務所を構え、秘書を何人も侍らせておく必要などまったくない。これらは、選挙対策以外になにものでもなく、議員にさしたる魅力がないので、そうしなければならないという強迫観念に陥っているだけである。

 信念を持ち、地元議員・有力者に媚びることなく毅然としている議員は格好いい。でも、そういう格好いいものを排除してきたのが自民党政治と言っていい。

 最近の日記によく書くけれど、地方議会の期数の長い議員の横柄さが目に余る。議場で居眠りをしたり(いや熟睡か)、暴言を吐いたり、パワハラをしたりと、そのわがままさも、自民党政治が構築してきた負の遺産と言っていい。

 愛知県某市に、かつて9期だか10期、県会議員を務めていたご仁がいた。もちろん自民党議員で、彼の権勢たるや知事、国会議員の比ではなかった。

 最近は、尾張のほうのパッとしない二世議員自民党の県連会長をしているので、以前のような状態ではないが、なにしろ愛知県の自民党はかなり風通しは悪いでしょうね。

 今期、愛知5区の神田憲次議員が税の滞納でOUT。7区の鈴木淳司議員も「パー券収入不記載」問題で大臣を更迭されてしまった。だまって頭を下げていればいいのもを「ぼくは金額が小さいからいいでしょ」てなことを言って顰蹙をかっている。愛知比例の池田佳隆議員は4000万円以上のキックバックが疑われているが、さっさと「雲隠れ」してしまったとさ。

 国会から地方議員に至るまでの巨大な自民党という仕組みは、じっくりと見てみると「民主政治」というものとは程遠い「長老政治」ということが理解できる。だから結構モノのいい企業経営者が期待を受けて国会議員になるのだけれど、1期で辞めていくことが多い。例えばワタミの社長とかね。

 モノのいい人材は去っていき、残るのは長老政治の中で疑問も持たずに期数を重ねることだけを目標にして地元の選挙活動に日々邁進している盆踊り議員、宴会議員ばかりなりけり。これでは、日本国が傾かないわけがない。

 まずは政権与党の自民党が、この愚を知って態度を改めること。これが最初の一歩だ。