後ろもたれ

今朝もはよからあちこちと走り回っていたので、日記を書く時間が取れなかった。ようやく午後2時頃、いったん帰宅することができた。いろいろな資料を鞄に詰めて事務所に行こうと思ったその時である。ひとりでにテレビのスイッチが入って、十両の土俵入りが画面に現れたではあ~りませんか。ほええええ、宇良が土俵入りをしている。おおお、3時前だけれど十両の取り組みが始まるんですね。これはちょいと宇良の取り組みだけでも見ておくか、事務所の方にはあわてていく必要もないからね。

 土俵に宇良が上がった。対戦は玉ノ井部屋の東龍。191センチ、157キロの堂々たるモンゴル力士である。宇良ちゃんはというと、175センチ、134キロだから一回りも二回りも小さい。

 この一番が凄かった。はーっきょいのこった!で、組み合った両者、東龍が大きすぎるので宇良の頭がすっぽりと左わきに抱えられてしまった。宇良の体は東龍に背中を向けて組んでいるという、宇良が裏返しになるというとんでもない組み方をワシャは見たことがない。普通は背中を取られれば確実に負ける。ところが宇良、ここが宇良、そのまま背中で押して東龍を土俵から外に出してしまった。

「後ろもたれ」という決まり手だった。これね。

https://news.yahoo.co.jp/articles/54a2a922e552da6c30bdc58a5e6855e11d0a5489

 写真をご覧いただきたいが、これ完全に宇良の負けですよね。組んだ途端に首を抱えられ、背後に着かれた瞬間に「負けた!」と思った。常識的にはそう思うのが普通である。ところが、宇良はそこで勝利を確信し、「後ろもたれ」で、この写真の状態から東龍を土俵の外に押し出す。こんな体勢で相撲が自由自在に取れるとは驚きだ。宇良の身体能力はいかばかりであろうか。

 ワシャは感動のあまり涙が出てきたのだった。

 それにしても、ワシャは「後ろもたれ」なる決まり手を知らなかった。ワシャは平成8年に買った『国技相撲のすべて』(ベースボールマガジン社)で、決まり手の勉強をしてきたのじゃ。その168ページに「相撲七十手解説」があって、そこを調べても「後ろもたれ」なんちゅう技は載っておらん。

 そこでネットで調べてみたらあったのだった(泣)。平成13年1月場所から取り入れられた決まり手なのだそうな。ううむ、テキストが古かったか。でも、流れの中で偶然に出る決まり手のひとつで、何番かは最近でも出ているらしい。が、それにしてもこれほど鮮やかに決まった一番を見たことがない。