30~50

 ワシャは基本的に「道州制」の考え方に与する者である。全国を10ほどの道州に分けて、都道府県を廃止する。その下に基礎自治体を置くのだが、人口規模は30万人程度であることが最も効率がいい。住民の距離もほどほどであり、道州が都道府県に代わるので、上位機関へのアプローチが近く短くなる。詳しいところは、とてもではないが、朝の日記で書ける分量ではないので止めておきますね。

 以上を前提として、今朝の中日新聞である。朝日にも載っている。

飛島村長選 加藤さん初当選》

 愛知県の人でも知らないかもしれないが、名古屋市の西の海沿いに「飛島村」という小さな村がある。人口4300人、面積22.42㎢、人口密度200人くらいの基礎自治体である。

 飛島村が過去の歴史の中で被ってきた現実は知っているつもりである。昭和34年の伊勢湾台風以前は、それは貧しい寒村だった。周辺の自治体からも合併を断られ続けるという悲惨な有様。例えれば、村はずれに住む村一番の貧乏人が村八分をくらっていたようなものですな。

 それが伊勢湾台風以後に状況が変わった。当時の桑原知事の英断で、臨海工業地帯の建設計画が立ち上げられた。ここから村はずれの貧乏人は成金自治体になった。

 それまで合併を求めた周辺自治体など屁でもないほどの財政力を持つに至る。今度は逆転ですね。周辺自治体から合併を求められても、まったく無視できるほどの実力を掴んだのである。

 それはそれでいい。そういう歴史もあるだろう。それはそれとしてだ。人口4300人の自治体の効率が本当にいいのだろうか?今回の村長選挙でも、新村長は1619票である。ちょっとした生徒会選挙の規模ですな。447票差で6選を目指した現職を破った。ワシャの地元では、一町内会の人口である。ここで行政組織を持ち、単独の基礎自治体として立っていく意味はあるのだろうか。

 おそらく飛島村の住民にはそれがあるのだろう。なにせ、財政力指数2.1という全国トップの裕福さである。役場に言わせれば、使っても使っても余ってしようがないという状況だろう。

 ワシャは財政力のいい自治体(飛島じゃないところね)の状況を聞いている。なにしろ事業を実施したくても、その事業がないという悲鳴すら出るというから凄いわさ。そんな自治体でもせいぜい1.2とかの財政力なんでゲスよ。飛島村の飛びぬけ方が半端でないことがお解りいただければ幸いである。

 こういった状態に陥ると、周辺自治体との合併は損が立つので、みんな消極的になる。ワシャの地元でも、かつて合併話が進んでいたが、ある市の財政状況が俄然良くなったがために、その「ある市」が合併を拒んで白紙に戻ったという事例がある。しかし、「ある市」の良好な財政力も一過性のもので、その後、財政的に悪化を来たして、今は悲鳴を挙げているのだが、一旦、白紙に戻った合併話は簡単には盆に戻らない。

 飛島村も、いつまで現状の好調が継続するのかは判らないけれど、好調な財政力というカードをかざせる時期にこそ、周辺自治体と交渉し、適正規模の自治体になる算段をしておいたほうがいいと思う。

 飛島村自治体としては小さ過ぎる。30~50万くらいの規模にして、そこが州を支えていく、そういった形態が望ましいと思っている。