コラムニストの勝谷誠彦さんが兵庫県知事に名乗りを上げた。立会演説会を県内各所で行っているという。ワシャも聴きに行きたいが、さすがに兵庫県まではなかなか足を運べない。
昨日はたつの市に行ったそうだ。ふ〜ん。勝谷さんの私信メールの《たつの市へ。》という字を見てもワシャにはピ〜ンとこなかった。しかし続く《竜野という漢字の名前を、合併のために捨ててしまったのかな。》という文章を見て「あああ、龍野だったのね」とピンときた。「龍野芸者」、「男は辛いよ」の名作「寅次郎夕焼け小焼け」の舞台となった播州龍野ですぞ。
童謡「赤とんぼ」の作詞をした三木露風の出身地で、だから「赤とんぼ」の風景は龍野の風景なのである。
そんな龍野を「たつの」って記述するから、ワシャの脳裏に「赤とんぼ」が再生されなかったじゃないか!可憐な「太地喜和子」が甦らなかったじゃないか!
平成の大合併で、よくあるケースである。例えば岡崎市とか浜松市といった巨大な都市が周辺自治体を呑みこむ場合は、そのままの市名が継続する。しかし龍野市のような小さな自治体が周辺と合併するときには周りが五月蠅い。新宮町、揖保川町、御津町から「合併して龍野を使うとわしらの町が吸収されたみたいで嫌だ」というもっともらしいけど愚かな意見が三町の有力者から出たんでしょうね。龍野市新宮町、龍野市揖保川町、龍野市御津町では龍野市よりも格下に見える……よくある話ですわ。これを「龍野」ではなく「たつの」にすると、たつの市新宮町、たつの市揖保川町、たつの市御津町になって、龍野の風下に立った印象が拭える……ってどうでもいいことなんですがね。たつの市を含め、ひらがなの自治体はほとんどこのケースであろう。情けない話であるが、地元の大切な地名を地元が殺してしまった。
龍野である。江戸期に龍野藩があり、藩主の脇坂安董(やすただ)は歴代の中でも辣腕の老中として知られている。「五万石でも脇坂様は花のお江戸で知恵頭」と謳われるほどであった。
その龍野ですぞ。もっと「龍野」という名を大切にしてほしい。