武漢肺炎その3

 朝日新聞が紙面で武漢肺炎を最初に取り上げたのが1月17日だった。「時時刻刻」で《国内で初確認 武漢渡航歴》と題した記事が載っている。この時の呑気な記事はいかばかりであろうか。

《継続的なヒトヒト感染 確認されず》

《感染リスクが高い医療関係者への感染が報告されていないことから、仮にヒトからヒトへの感染があっても限定的とみる。》

《(武漢)市場はすでに閉鎖されており、市場関係者からは3日以降、感染者は見つかっていない。》

武漢市当局によると、唯一亡くなった61歳男性は慢性肝疾患と悪性腫瘍があったという。》

 この時点での武漢の死者は1名だった。記事は、「その人は別の疾患に罹っていて、だから死亡した」と言っている。だが、果たしてそれから29日後の本日、武漢で1000人を超す死者が出てしまった。1ヶ月経ってない。みんな慢性肝疾患と悪性腫瘍のわけないじゃないか。

 しかし1か月前の時点では、捏造をしてまで危機を煽ることの大好きな朝日新聞ですら、脳天気な記事を書いている。もちろん平時の官僚組織の厚生労働省もお気楽なことこの上なく、それに足を引っ張られる格好で、安倍首相も緩慢な対応しかやってこなかった。

 そして、一昨日、日本国内で最初の1人が亡くなられた。ついに29日前の武漢に追いついたわけだ。

 1月17日以降の朝日新聞を繰ってみよう。21日付の3面である。

《中国の新型肺炎 ヒトヒト感染》

武漢市は20日、市内で新たに患者1人が死亡したと発表。中国での死者は3人になった。》

《24日からの中国の大型連休で、訪日客や現地駐在の日本人の帰省が増える。》

 

 翌日22日の朝日新聞2面。予定稿が入っていたんでしょうね。フクロウ先生の「いちからわかる!」コーナーで

《もうすぐ「旧正月」中国人はどう過ごす?》

春節と呼ばれ、大型連休に。昨年は630万人が外国旅行した》

《日本のデパートやホテルなども、中国語を話すスタッフを増やして春節商戦に力を入れているね。》

 と、呑気なものだ。

 その隣の3面に《新型肺炎「最大級の防疫対策」》とあるにも関わらず(トホホ)。

《ヒトからヒトへ感染 中国政府、法定伝染病に指定》

《死者6人に 厳戒の春節へ》

 1人から3人、そして6人と倍々に増えている。これで危機感が高まらないとしたら、そいつは案山子か!

 この段階で厚生労働省がやったことは《直行便と経由便 質問票を配布へ》だとさ(トホホホホ)。

 しかし北朝鮮はこの日、支那中国からの入国を停止した。

 

 23日の記事。ようやくトップの紙面に見出しが出た。

新型肺炎 水際で警戒》

春節目前 国内空港の検疫強化》

《「さらに拡散するリスク」中国当局死者17人、感染者540人に》

 6人から17人、ほぼ3倍になっている。

 この日、つい中国共産党には、武漢封鎖を実施した。ただし、事前にその情報は共産党系の連中からダダ漏れで、「封鎖されてはかなわない」とばかりに市外への流出が500万人。それは当然のことながら日本にも流れ込んだ。

 

 24日、もうこのあたりから新聞は連日紙面中で武漢肺炎を取り上げてくる。この日には死亡者26人、感染者876人。国内では2例目の感染者が確認されている。これでもまだ厚生労働省は、入り口を閉じることをせず、「症状のあるかたは申告してください」と呑気な対応を繰り返すばかり。医療関係者も「艦船から発熱まで1週間ほどのずれがあり、検疫所をすりぬけて国内に感染者が入ってくることは想定しておくべきだ」と言っているにも関わらず、厚生労働省はなにもしなかった。

 

 25日には中国共産党は「団体旅行を禁止」する措置を発表した。いいですか。武漢市を封鎖し、国内海外を問わず団体旅行を止めたのである。このことが、支那当局がどれほど「武漢肺炎」に危機感を持っているかが理解できよう。

 また世界的な広がりが報告されているのだが、厚生労働省は「検討」と称する打ち合わせを連日連夜やっているんだろうが、何の動きも見えてこない。

 

 26日である。武漢での死者は56人、感染者は1975人となっている。翌日の朝日新聞社会面では《日本の観光地でも宿泊のキャンセルの影響が出始めた。春節の大型連休中だけに、売り上げ減への不安の声が相次ぐ一方、終息しないことへの品杯ももれた。》とまだ呑気なことを言っている。

 ワシャは「給料差し止めか、さもなくば死か」と問われれば、金なんか要らない。生き残ってからまた稼げばいいだけの話なのだ。日本国は、経済(金)のために国民の安全(命)をないがしろにした。神奈川県の女性はまさにその犠牲者と言っていい。関東平野濃尾平野大阪平野、その他の小さな平野全部合わせても屁みたいなものである。それと比し巨象のような武漢平原が封鎖されているんですぞ。日本は各地の空港で武漢肺炎ウイルス大歓迎とばかりに、ダダ漏れ状態ではないか!

 

 27日以降は全紙面を使って「武漢肺炎」特集を組んでいる。ここまでマスコミが騒ぎだしても「景気の重荷になる」とか「受け入れ態勢を準備しなくては」などと政府・厚生労働省はなんだかノロマなことですな。

 

 夕べ、BS-TBSの「ニュース報道1930」にWHOのシニアアドバイザーというオバサンが出演していた。こいつが言う。

「感染ルートの追跡をすることが大切だ。それができれば、日本での抑え込みが可能だ」

 これに対して、田村元厚生労働大臣が「中国での感染ルートは追跡されているのか?」と質問をすると、「さあどうでしょうか?」と答えた。

「発症前の感染はない。発症当日から感染力はある。その1日前まで接触を追えば、大体は感染ルートが追跡できる」

 ところが武漢肺炎を発症した東京のタクシー運転手は発症前10日間もタクシーの営業をしており、どこのだれとどれだけの接触をしたかなど解かるわけがない。そのことをキャスターが指摘すると「さあどうでしょうか?」と答えた。そして「WHOとしては封じ込めるということに努力をしている」

 支那中国の封じ込めは成功したと信じているこいつ、支那中国の対応をほめるほめる。こいつはあかんな。