何ごとのおはしますかは知らねどもかたじけなさに涙こぼるる

 昨日は、午前6時20分にはバスの集合場所に行かなければならなかった。だから午前4時30分に起床して、ばたばたしていたら日記を書く暇がなかったんですね(謝)。
 午前7時、バスに載りこむ。窓から外を見れば、払暁の空には雲が多く、まだ暗い状態だった。だからバスが動き始めたら、その振動の心地よいこと。そく眠りに落ちてしまったのだ。
 気がつけば、もう最初の休憩地の長島スパーランドの駐車場だった。用足しを済ませてiPadで日記を書こうと思ったのだが、バスが動いていると書けないのである。字は歪むし、それでも必死に書いて、その字面を確認していると、車酔いをしてしまう。
 てなことで、伊勢神宮の駐車場に停まってから書いたものが、ツイッターのような昨日のあれでした。
 それにしても、久しぶりのお伊勢さんは混んでしましたぞ。観光バスが駐車場を埋め尽くし、駐車場は乗降オンリーになっていて、車両自体は別の場所に移動して待機をする。ガイドに聴いたところでは、この1月20日前後の土日が最も混むという。それも政治団体のバスが圧倒的に多いのだそうな。ワシャが数えただけでも、8割がたは「〇〇後援会」のチャーターしたバスだった。
 どうやら政治家にとって、こういう形が定番のようだ。こういうツアーをやる政治家は「良い政治家」で、こういうツアーをやらない政治家は「悪い政治家」ということらしい。畏るべしポピュリズム
 とはいえ、伊勢は伊勢で、宇治橋を渡れば、そこは「かたじけなさに涙こぼるる」神域が広がっている。西行が感動した900年前の皇大神宮の森は今でもさほど景色は変わっていなかろう。ただ、人の多さは尋常ではなく、参詣者の服装も平安時代とはまったく違っている。また、ところどころにある歩行を制限する鉄の柵が「現在」へと意識を引き戻してくれる。
 今回は、ちょいと訳ありでね、大きな買い物をしましたぞ。樹齢千年の杉を1本、とはいきませんでしたが、はてさて御利益がございますかどうかは、先の愉しみの取っておきます(笑)。

 参拝を終えたメンバーを乗せて、午前12時には神宮の駐車場を出発する予定だった。しかし、なんだかバスの中がごたごたしていてなかなか出発しない。あまり、団体でわいわいするのが好きではない……というか、団体行動が苦手なワシャと、ワシャの仲間数人は、その騒ぎから外れて、静かにスマホをしたり雑談を楽しんでいるのだった。
 ワシャは、なんだかその混乱が楽しそうだったので、耳を澄ませていると、こんな混乱だった。
 来る時の車中で「赤福餅」の注文を取っていた。バスガイドの触れ込みは、「おかげ横丁の本店で買っても、それを持って帰ってこなければいけないので、ここで注文しておけば、車まで店側が届けてくれるので、おかげ横丁をさらに楽しむことができる」ということで、同車していたオバサンたちはこぞって注文をしていた。なかには15箱も頼んでいた高齢の女性がいたほどだ。ワシャの仲間は「本店に行って買おう」ということで社内注文はしなかった。おかげで車内の混乱に巻き込まれずにすんだ。
 どうやら数が合わないらしい。配ったものの、数が足りなかった。金は前金で納めてある。ワシャのツレの「赤福」、それは本店まで行って買ってきた「赤福」なのだが、それまでも疑惑の目が向けられて、係員が何度も何度も車内を確認をして回っていた。十数人が「赤福」の代金を支払っていて、その中の4人の「赤福」の数が足りなかった。この4人が轟々と業者を責め上げた。疑られた客も気分は悪い。業者も業者で、これは観光会社の若いニーチャンなんだけど、たかが「赤福」4箱ほどの話である。十数人の袋を開けさせて中身を確認するよりも、「あとで昼食の場所に届けます」としたほうが、印象もいいし後腐れもない。「赤福」だってそのくらいのことであるなら信用を取るだろう。結局、注文票が間違っていたのか、「赤福」の梱包ミスなのか、客の誰かが鞄に入れてしまったのか、まったく真相は解明されぬまま、バスは30分遅れで出発したのだった。騒動にまったく関係のないワシャらにはいい迷惑だった。
 しかし、「赤福」4箱で、フランスのイエローベスト運動のような殺気だった騒ぎになるとは思わなかった。みんな、今さっき、神前で心おだやかに祈っていたのではないのかにゃ。

 赤ふくの何箱あるかは知らねども腹立たしさに罵声とびかう