御園座の千秋楽に行ってきた。演目は「通し狂言南総里見八犬伝」のみ。これじゃあ普通の客は、昼・夜どっちかしかいかないわさ。客は確実に減る。だから千秋楽の夜の部はガラガラだった。これが、歌舞伎役者の不足によるものだとしたら、やはり心配していたことが起きているんだな。
2013年5月号の「新潮45」に、歌舞伎看巧者の岩下尚史氏が「勘三郎、團十郎、富十郎、芝翫(7)、雀右衛門などがいなくなっても、その下が精進しているから歌舞伎は衰退するようなことはない」というようなことを言っていた。それにワシャがこう反論している。
https://warusyawa.hateblo.jp/entry/20130423/1366669102
どうやら、岩下氏の先見性は甘かったのう。少なくとも、御園座を見るかぎり、岩下氏以外の歌舞伎通が懸念していたようになってきている。
役者がいないのである。芝翫(8)、愛之助、松緑の3人きりしかいない。役者に厚みがないのである。看板が何人かいて、老練な役者がいて、中堅の役者がきっちりと固め、若手がしっかりと演じる。この厚みこそ歌舞伎の見所ではないのか。
もう一つの心配は、御園座そのものの経営姿勢である。銀行が経営のイニシアティブを取るようになってから、劇場全体のしまりがなくなり、落ち着かない劇場になってしまった。さすが銀行屋主導で劇場をつくると無駄なものがなくなって、こんな無味乾燥な赤屋敷ができるんだね。
筋書もひどい。御園座の筋書を山ほど持っているが、最悪な出来だった。装丁が田舎の公民館が作っても、もっとまともなものになるだろうというちゃちな筋書だ。ワシャが筋書チームのリーダーなら絶対に「了解」などしない。ページ数も、過去の筋書がどれも100ページをこえる厚みをもっているのに、今回のものは58ページでっせ。それで2000円をぼったくるのは詐欺に近い。
こんなことをやっていれば早晩、御園座は歌舞伎ファンから見放されるぞ。
きっちりと名古屋の文化を守っていこうよ。銀行から天下ってきた会長さん!