国防婦人会

 正式には「大日本国防婦人会」。映画やドラマで戦時中が舞台になると、必ずと言っていいほど登場する「婦人会」である。描かれ方としては、国粋のほうに走って、戦争に疑問を感じているヒロインに敵対する敵役であることが多い。

 国策として、婦人たちに戦争協力を強いる組織としてつくられた。おそらくその先頭に立っていた人たちの中の一部には、疑問を感じながらも、周囲との軋轢を慮りながら「国防訓練」「隣組協同」「貯蓄奨励」などに精励していた人もいただろう。

 しかし、隣組のリーダーとなったご婦人の多くは、上からの命令にしっかりと従う真面目な人たちだった。言い方を変えれば上の命令に盲従してしまう特性を持っていた。これがこわい。真面目な人ほど、異分子を敵視する。柔軟な考え方や、大らかな考え方を持つ少数者に対して、厳しい指導をしていたことは想像に難くない。

 イメージとしては、ギャグのセンスのない、はみ出ることが嫌いな、真面目だけが取り柄のような石部金子が多かったと思う。ワシャのような変わり者はこういうのとは付き合いづらい。でもそういった頑なな人材を権力者は好んだ。

 それは現在でも変わらず、国防婦人会のような集団はどこのコミュニティにも存在する。そこから外れた行動をしたものに対しては、徹底した村八分や誹謗中傷が待っている。それが小中学校などで問題になっている「いじめ」と同根だということを、リテラシーの低い大人たちには理解できないのだろう。

 

 災害時にはコミュニティが大切である。それは間違いない。しかし、平時においては、必要以上の連帯や関わりが苦痛となる種類の人もいる。そのことに現在の国防婦人たちが気づかなければ、やっていることは70数年前とさほど進歩はしていないということだわさ。