コンビーフの思い出

 これから話すことは作り事ではなくて、ホントにそうだったのでワシャの記録として残すために書いておく。

 3日前のことだった。このところ忙しい日々が続いていて、体重が2キロほど減ってしまった。これはいけない……と思って、近所のスーパーに美味そうなものを買いに出かけたのである。酒の肴をいろいろと買って、たまたま缶詰の棚の前を通りかかった。そこにコンビーフの缶詰が並んでいて、そこに目が吸いつけられた。普段はそんなに食べるものではないし、前回、いつ食べたのかすら覚えていないほどである。しかし、それが無性に喰いたくなって、「K&K」のコンビーフ、一番高いのを購入したのだった。それを夕食時、ビールのあてにそのままむしゃぶりついて食ったのだった。

 感のいい人には、コンビーフの話で次の展開が読めたかもしれませんね。

 

萩原健一さん死去 68歳「傷だらけの天使」》

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190329-03290072-nksports-ent

 ショーケンが死んだ。

 けっこうショックだった。

 さっそく書庫に入って本を引っ張り出してきた。奥付には、「昭和49年12月16日」とあるから45年前の本である。『傷だらけの天使』(日本テレビ)、萩原健一主演の青春ドラマだった。それを書籍化したものが大切に取ってあった。

 この本を買った頃、ドラマが放映されていた時期に、ちょうどワシャらが高校生だった。こんな面白いヒーローにアホな学生たちは感化されていったのである。ショーケンのヨーロピアンスタイルが抜群に格好よかった。それまでは「VAN」に代表されるアイビールックが主流だったのだが、格好をつけることばかりに血道を上げていたアホ学生は、バギーというダブダブのパンツを履いて、少しヒールのある革靴を履くヨーロピアンにあっさり転向したものだった。生地の厚いチェックのトレンチコートのポケットに両手を突っ込んで、上目づかいにしわがれた声で「辰巳さ~ん」なんて言っていた(辰巳さんというのはドラマの中でショーケンの上司の名前です)。

 ショーケンはもちろん二枚目ではあるが個性的な俳優だった。しかしショーケンが演じるところの「小暮修」、「辰巳さ~ん」と上目づかいに言う若者が抜群に素敵だった。謎の女が経営する調査事務所の手先として小銭を稼ぐ自堕落なワル小暮修が、出来の悪い高校生のヒーローにならないわけがない。

 ファッションにしても生き方にしても、若い時分に形成されていくものだと思っている。

 今の自分を省みても、確かにそんな感じではある。相変わらず、こじゃれた格好が好きだし、相変わらず、世間を斜に観ているし、相変わらず、自堕落だし。

 そしてたまにコンビーフが食いたくなるしね。それにしてもショーケンの亡くなられた日に何年かぶり、下手をすると20年ぶりくらいに缶詰のままコンビーフを食ったのは偶然にしても出来過ぎである。

 

 ワルシャワの永遠のヒーロー小暮修こと萩原健一さんのご冥福を祈ります。