思い出話を聴いてくだされ。
かれこれ20年も昔のことになるか。凸凹商事の企画部門で6年ほど勤めたのち、総務部門に回された。上司にしてみれば「総務も経験してこい」という配慮だった。
しかし総務というのはこれがなかなか面倒くさい仕事でね、ある意味で企画とは対極にある業務と言っていい。企画はさほどルールには縛られないが、総務はすべてルールにそって仕事をしていかなければならない。どちらかというと型の破れた性格のワルシャワには、取っ付きにくかった。でもね、仕事だからがんばった。月に160時間くらいの残業を半年も続けただろうか。若かったからできたことだけど、これって今なら完全にアウトですよね。
でもね、部長も課長も係長もみんな優しい人で、仕事時間が長い以外に文句はなかった。ところが一人だけ厄介なのがいたのだ。いわゆるお局様(おつぼねさま)というやつで、年齢的にはワシャよりも6歳くらい上だったのかなぁ。なにしろ総務に長くいる人で、太っていて老け顔だったから、課長よりも上に見えた。
もちろんワシャはお局女ともうまくやっていこうと頑張った。うまくやらないと書類や資器材、物品が出てこないのである。ある意味で凸凹商事のある業務に関わる資器材系はその女がすべて仕切っているといっても過言ではない。
そして異動してきたばかりのワシャはなにも知るわけがないので、逐一、お伺いを取らなければ仕事にならない。いささか面倒ではあったが自分が覚えるまでのことと割り切っていた。
ある時、ボールペンが30本ほど必要になった。そこでお局に確認をした。答えは「ない」の一言だった。「注文をするとどのくらいかかりますか?」と尋ねると、「今は他のことで忙しいから2週間くらいかかる」と言うではないか。ホントかいな。たかがボールペンじゃないか。頼めばすぐに持って来てくれるだろう。それに、そのくらいのストックが物品倉庫にないのだろうか。
仕方がないので、ワシャは各課を回って、2本3本と集めて30本のボールペンを揃え、事なきを得た。
それでね、後日、物品倉庫を点検していたら棚の引き出しの中から新品のボールペンが100本も出てきた。おいおい、この場所で、この位置で、長年、物品管理をしているお局が分からないわけがあるまい。「そういうイジメをするんだ」と、その時、気がついた。
残業時に夕食を課長以下の課員でとっているときも、課員にお茶をお局が配るのだが、ワシャの湯呑だけは出てこない。書類の枚数を数える時も、ワシャの数えるものから1枚をあらかじめ外しておいて、数が合わないから、何度でも数えるしかなく、無駄な確認行動を強いられる。電話は取り次がないし、個人的な来客は「不在だ」といって追い返してしまう。なにしろ手を替え品を替えて「嫌がらせ」をされたものである。
最近、ある組織に加わった。ワシャはまったくの新参者なのだが、ここにもお局がいた。どこにでもいるんだな、この手のやつは。20年前の気分の悪い女によく似た風貌で、この手の嫌な女というのは共通点があるのだろうか、ホントよく似ているんですわ(笑)。このお局から諸々の嫌がらせを受けている。なんだかなぁ。