福山駅の攻防

 広島からの帰路の話である。
 ワシャらは、どうしても午後4時59分発ののぞみに乗らねばならなかった。神石高原町から福山駅に房ったのが15分前、通常ならそれだけ余裕があれば何の問題もない。ところがみどりの窓口は黒山の人だかり。なんのこっちゃ。どうやら帰省ラッシュと重なったようだ。これはとても間に合いそうにない。
 そこで友達がネットから新幹線チケットを購入してくれた。これでバッチリ。スマホをかざすだけで改札を通れるというからすぐれものじゃ。
 でもね、改札を通れないんですよ。友達は改札前にいた50代後半とおぼしき男性駅員に理由をたずねた。駅員は「2人以上はチケットに替えてくれ」と言う。なるほど。友人は改札前にあるチケット交換機を操作する。よしよし時間は十分に10分ある。
 しかし、チケットが出てこない。何度ためしてもキャンセルされる。
 友人はまた改札前の年配の駅員に「チケットが出てこないんですが?」と尋ねる。
 駅員は、「みどりの窓口へ行って」と言うばかり。だがみどりの窓口は黒山の人だかり、「降車駅で精算させてくれ」と言っても、「みどり」の一点張り。4時59分ののぞみのチケットは購入してあるのだ。スマホの画面を見せて抗議をすると、手におえないと分かったらしく「中の新幹線の改札で相談してくれ」と少しだけおれてくれたではあ〜りませんか。なんとか外の改札を抜けた時点で、残り時間はあと5分、急ぎ中の改札にいた若い女性駅員に相談すると、あっという間にチケット2枚を発行してくれた。べテラン駅員はまったく役に立たず、就職して間もない若い女性駅員がみごとな対応をしてくれた。う〜む、改札前に立っていたいかにもベテラン駅員さんは30年間何をしていたのだろうか。