昨日、地元の寺で落語会があった。出演は笑福亭松喬(しょきょう)、右喬(うきょう)、喬介(きょうすけ)。仕切りが桂文也(ぶんや)である。
まずは喬介が「犬の目」でご機嫌をうかがう。眼を悪くした男が眼医者に行って、犬の目に取り代えられるといったナンセンスな噺。喬介は松喬の弟子である。36歳ということで、江戸落語でいえば二つ目でも真打の手前くらいの年齢だ。実力から見てもそんなところだろう。
右喬は松喬の弟弟子で40歳、演目は「平の陰」(ひらのかげ)、別の題は「手紙無筆」「無筆の手紙」、題から噺を推量するのにはこの2つのほうがいいかもね。字が読めない兄貴が見栄を張って手紙を読むふりをするという滑稽噺。
仲入り前が文也だった。高座に掛けたのが「鬼の面」。上方噺で人情噺である。ワシャが知っていたのは、丁稚の定吉が鬼の面に驚いて故郷に帰る噺なのだが、文也は子守りのお花に代えていた。鬼の面で驚かすのも、番頭から旦那に代わっていたし、面の数も、博打場の金をせしめる段も、微妙に元ネタとは違っていた。もちろん文也か、あるいは別の誰かのアレンジだと思うが、お花(女の子)にしたほうが夜の池田街道を北に走る姿がはかなげで、その必死さが伝わってくる。でもね、噺のあちこちがずいぶんと端折ってあって短めに終わってしまった。仲入りが午後7時過ぎですぞ。それも仲入り後は松喬の一席を残すのみである。「今夜は8時前には終わりそうだ」と常連の多くが思っていただろう。
そして松喬が始まった。ネタは「らくだ」だ。この大ネタを松喬は1時間にわたって熱演した。すごいな。柳家喬太郎と「東西二人会」を開催しているというが、喬太郎に見劣りしない実力を有している。酒の飲み方(湯呑の底に当てた手が湯呑を持つ手と連動していない)は気になったが、その他は風格のようなものを感じた。おそらくこれからの上方落語を背負っていく大看板の一人であろう。あ〜おもしろかった。
もちろん反省会に行きましたぞ。