勉強会

 昨日、愛知県幸田町で勉強会があった。企業人や公務員が集って、その時々の内容で講師を選び1時間ほど講義をしてもらう。その後、懇親会ということで、参加者の交流を図るというもの。
 ここ何年も参加してきたが、昨日は気乗りがせず、連絡があった時から「欠席」と答えていた。それが金曜日に主催者と飲み、「ワシャさんか参加しないと始まらない」とか、上手いことを言われて「じゃあ行きますか」ということになった。
 行ってみれば、幸田の田舎も春めいて、梅も桃も満開で、気持ちがよかった。講義の内容も、西三河の中小企業の今後の展開について、けっこう熱い議論が交わされた。
 主催者は今月末に退職する。それでこの時期に自宅を解放して20数人を集めて勉強会を開催しようという意気込みがすごい。普通なら退職金の額を計算して、ほくそ笑んでいればあっという間に過ぎていくというのに。
 この人がきっちりとした命題を掲げて生きてきたんだ、生きているんだ、ということがよく判った。

 夕べ、NHKのBSで「最後の講義 大林宣彦」をやっていた。映画監督の大林さんの若き学生たちの送る珠玉のメッセージが込められている。いい番組だった。
 大林さんは、肺ガンで余命3ヶ月と宣告された。しかしそれから1年余を生き抜いておられる。その人が人生を、創作を、映画を語るとき、若者たちは真剣に聴き入るのであった。3時間以上に及ぶ大林さんの講義に立ち会えた子供たちは幸運である。なかなか人生で達人に接する機会は少ない。これはあなたたちの人生にとって、強い糧になることは間違いない。こういった大切な出会いが20歳前後にできるかどうか、出会ったときに気付けるかどうか、これがその人の一生を決めると言ってもいいだろう。
大林さんは言う。
「メイク・フィロソフィー、創作者は哲学を持て」
 そのとおりだ。これから何ものかを目指す若者は、己なりの哲学を備えていなければなるまい。
 哲学をなにも持たず、テーホヘテホヘ(花祭の音楽ね)と生きていくと、晩年が苦しいぞよ。自戒の意味を多量にこめて……。