RIP

 今週の「週刊ポスト」。もちろんエロネーチャンを鑑賞するためではなく、評論家の呉智英さんの連載を読むために購入した。今週号は、曽野綾子さんの連載エッセイ「昼寝するお化け」もおもしろかった。今回は、彼岸に逝かれた親しい友人の話だった。彼女とは同級生だったが、人生の半ばで再会するまでは交流がなかったという。詳細は曽野さんの染み入るような文章でお読みいただきたいが、ざっと要約したい。
 二人は偶然にも昨年、配偶者を亡くした。友人は夫に強く束縛される生き方をしていたので、曽野さんは、寂しさを紛らせることも含めて、喪が明けたら「彼女を誘って遊ぶ機会をつくろう」と決心したそうだ。友人は足を悪くしていたので、自由にあちこち出かけるために手術を受けることになった。曽野さんは「手術が終わってから温泉にでもいこう」と友人の入院・退院を楽しみにしていたという。そして友人が入院する朝、曽野さんのところに訃報が届く。入院するからと、シャワーを浴びていた友人が浴室で亡くなったのである。束縛され続けた夫からの自由を得て、羽ばたくための準備をしている最中に彼岸に旅立ってしまった。
 しかし曽野さんは彼女の死を「それもそうね」と受け入れたのだ。
《神は時々その人にとって一番いい時期に永遠の休息をお与えになる。》
 にゃるほど……。

 ワシャの家にも新年早々に訃報が届いた。遠い親戚の80代のおじいさんが亡くなった。
 このおじいさん、とてもパチンコが好きで、わずかな金を懐に入れてパチンコ屋に日々通っていた。その日も家族に「行ってくる」と言い残し、車で郊外の行きつけのパチンコ屋へ。どのくらい打っていたのかは聞いていないけれど、パチンコを堪能して、自分の車にもどってシートに座ったとたんにお迎えが来たらしい。あとで発見された時にはシートで寝ているようだったそうな。
 これもいい死に方だよね。自分のやりたいことをやってコロリと死ぬ。このおじいさんにとっていい人生であったろう。

 タイトルの「RIP」は、ラテン語の「requiescat in pace」の略で、西欧人の墓碑に刻まれる。「安らかに眠れ」という意味だそうな。
 曽野さんのご友人も、親戚のおじいさんも、星野さんも、平尾さんも、安らかにおやすみください。