大晦日

 一年間お世話になりました。平成30年が皆さまにとって佳き年になりますようお祈りしております。

 さて、ワシャは年末の休暇に入ってから大掃除や本の整理に忙しい毎日を過ごしている。まるで禅寺の小僧のようだ。それでも合間をみて、駅前の本屋に出かけた。今回は本、雑誌も買うけれどメインは図書カードの購入が目的だった。
 ワシャの家は本家なので、正月には近い身内が集まってくるのじゃ。もちろん子供も来る。その時にお年玉を当然ながら手渡さなければならない。それを金ではなく図書カードで渡す、これがワルシャワ流なのである。
 そんなことはどうでもいい。その時に買った雑誌についてである。図書カードを包んでもらっている間に雑誌コーナーを見ていたら「朝日新聞と言論犯罪」という表紙が目についた。手に取れば、月刊誌の『WiLL』の別冊であった。一冊丸ごと朝日新聞の特集である。このところ『WiLL』は朝日新聞叩きばっかりなので、食傷ぎみだった。とくに年末年始用の本はすでにずらりと並べてあるので、わざわざ朝日新聞の悪口を読む暇もない、次に来た時に買えばいいと思って、棚に戻した。
 図書カードの包装ができたので、それを受け取って、帰り際に再び雑誌コーナーの横を通る。ううう、本買いのワルシャワとしては……やっぱり素通りができない。ということで『WiLL』の増刊号を買って帰ったのだった。

 風呂で増刊号を読んでいた。そして思わず苦笑をしてしまったわい。「WiLL」、けっこうずっこい商売をするじゃないか。
 巻頭エッセイから読みはじめた。元週刊朝日の編集長だった人の文章で「読まれなくなった朝日新聞」というもの。これがおもしろくなかった。はっきり言って内容がない。文章が下手だ。途中まで読んで放り投げて、次の百田尚樹氏、阿比留瑠比氏の「落ちるところまで落ちた朝日新聞」に移った。これはおもしろかった。「加戸氏の報道のあり方」「獣医師会の話」「印象操作のひどさ」など朝日新聞の手口を解説している。興味深く読み進めたのだが、なぜか既視感がつきまとう。11ページを読んで最後のところに(『WiLL』二〇一七年九月号初出)とある。ああ成程、だからすでに読んだ感じがあったんだね。この後ろに続く22本の対談、評論がすべて既刊の『WiLL』からもってきたものであった。要するに巻頭エッセイ以外の新ネタはなかった。ならば「この一年の朝日批判総集編」とか銘打っておけよ。ワシャみたいなアホが思わず買っちまうじゃないか。『WiLL』はこういうことをするんだ。

 大阪市長の吉村洋文氏のものがいい。「YouTube」の「虎ノ門ニュース」で吉村市長がこう発言した。
「こっちでいい顔をし、あっちでいい顔をし。政治家は八方美人するのが楽なんですよ」
「政治家が前例のないことをやろうとする。これをパフォーマンスだと反対派は糾弾する。しかしパフォーマンスはいいものと悪いものがある。自分の政治生命の延命のためにやるパフォーマンス、自分ファーストなものは最低、自分の政治生命を賭けて違う大義のためにやるパフォーマンスは大切」
 これは同席されたジャーナリストの有本香さんのコメント。
 吉村さんは政治家のあり方がわかっていると思った。有村さんは相変わらず鋭い。ぜひ年末年始にお時間があれば、つまらぬ地上波などご覧になられずに、「YouTube」で「虎ノ門ニュース」をご覧くだされ。

 ついでに今朝の朝日新聞社会面。
《朝までパチンコ なぜ三重だけOK?》
 三重県では大晦日から元旦にかけてのパチンコ屋が夜通し営業が条例で許可されている。1年の大きな区切りの二日間、三重のパチンコ屋の駐車場は満車だそうな。すごいね。大晦日、元旦に場末の博打場が大盛況の国があるとは。他にすることはないのか。くだらん地上波など見なくてもいいが。除夜の鐘を聞いて過ぎし歳月に思いを馳せるのもいいじゃないか。あるいは地元の神社、仏閣に足を運ぶのもよろしい。
 カジノ誘致でギャンブル依存症が増加する?こんな下品な条例を通しているとは三重県ももう少し考えろよ。