ブラック校則

 地元の読書会の課題図書が、吉野源三郎君たちはどう生きるか』(岩波文庫)である。かなり昔に読んだっきりだった。久しぶりに書庫に埋まっていた文庫をひっぱり出してきて再読をしていてふと思った。
 この話は戦前の旧制中学校の話である。旧制中学というのは現在の中学校とは雲泥の差で、バカでもちょんでも入れる現在の中学校とはちょっと違う。在学者数でいうと同世代の3%しか入学できないのである。ワシャの小学校は1200人くらいいたけれど、あの連中のうち36人しか中学校に進めないんですね。だから今と比べて生徒の質は高かった。それはイコール親の質の高さでもある。
 当時、教師はエリートだった。今でこそ変態教師だとかが紙面を賑わすけれども、昔は聖職であって、教師は地域でも名士であった。あの頃は教師にとってはいい時代だったろう。そもそも教師に逆らう父兄などいなかったし、社会的に尊敬もされていた。
 そんな優秀な生徒、優秀な指導者のもとでも「いじめ」は起きた。まさに『君たちはどう生きるか』の中で主人公はそのことについて悩むのである。それに比べれば現在の状況はクソもミソもごった煮したような状態で、親の質も最悪と言っていい。そんな状況下でいじめが起きないわけがない。
 校則もブラックにせざるを得んわなぁ。そう思ったのである。