「火焔土器」とワシャは呼んでいるが、正式には「新潟県笹山遺跡出土深鉢形土器〈火焔型土器〉」と言う。
http://www.tokamachishikankou.jp/history/national_treasure/earthenware/
15年くらい前だろうか。ある仕事の関わりで新潟県十日町市まで行った。そこの博物館で火焔土器に出会った。この印象は強烈でしたぞ。なにしろそのフォルムが洗練されている。下部の細い部分の線状文様も美しいがその肩あたりから上部のエネルギーの爆発が凄まじい。「芸術は爆発だ!」の名言を残した岡本太郎が強い影響を受けたのも理解できる。それほどまでに五千年の時空を超えた燃え上がるような作品は、その後の日本歴史に登場する生半な芸術を寄せ付けないほどにすごい。岡本はこの土器を絶賛している。
「この圧倒的なすごみは、日本人の祖先が誇った美意識だ」
十日町の博物館に行くと、この火焔土器がゴロゴロしている。なにしろ国宝の深鉢型土器が57点、その他の土器・土製品などで900点以上が国宝の附(つけたり)として指定されているのである。まぁ国宝がそこいらじゅうにとっ散らかっているといった印象か(笑)。
岡本のような感性は持ち合わせていないけれど、それでも火焔土器は強烈なインパクトをワシャにも与えた。当時、陶芸をやっていたので、見た直後に実際の火焔土器を成形してみた。だが、これがとてもではないが簡単にできるしろものではなかった。焔の先端部分が大きく開いているために重力がじゃまをして下方に変形してしまうのだ。21世紀の技術をもってしても(といってもワシャの技術だから屁みたいなものだけど)なかなか焼成できるものではなかった。
自身でやってみて、その途方もない難しさに、ワシャは五千年前の縄文人に畏敬の念を持ったものである。
ワシャの勝手なイメージなのだが、火焔土器を見ていると戦艦大和を想い出してしまう。フォルム、クオリティーに相通じるものが感じられるのだ。