「日曜に想う」を月曜に想う

 昨日、朝刊を日中に読む暇がなくて夜になってから読む。
 相変わらず朝日新聞のコラム「日曜に想う」がおもしろい。編集委員は阿呆だな。

 マロニエ好きの冨永格特別編集委員は、ブログの捏造で自爆して去ったが、その後釜の大野博人氏もこの程度かいな。お題は《日本が温存する「切り札」》。冒頭で人口減と少子化を嘆きながら《社会は急速に縮み、老いている。》と言う。
 そして「暴力団員の4割超が50歳以上になっている」という自社の記事を引きながら、この《記事を一瞬でも、ひとごとのように読んだとすれば、それは自分たちの社会について幻想があるからかもしれない。》と読者に喧嘩を売っている。文章に主語がないのでそう思われても仕方がなかろう。
「読者風情が人口問題に幻想を抱いているんじゃないぞ。暴力団の記事を読んでも、俺様のように日本社会に思いを巡らせるくらいでなければだめだ」
 おそらくそう言っている。

 次の段落で編集委員は「中位数年齢」という専門用語を出してくる。《人々を年齢順に並べたとき、ちょうどまん中にいる人の年齢を指す》んですと。それが日本はヨーロッパや韓国に比べて高いのだそうな。それは当たり前の話で、団塊の世代が高齢者になり始めているのだから、「中位数年齢」が上昇するのは仕方がない。そんなことは改めて編集委員様に言われなくても30年も前から判っていることじゃないか。

 三段落目の頭でこう言う。
《だが、国家運営を担う政治家たちが「ふつうの国」に戻そうとしているようにも見えない。》
 このオッサンが言っている「ふつうの国」というのは「中位数年齢が低い国」のことである。ということは、団塊の世代以上がさっさと死ねば「中位数年齢」が下がると言いたいのかなぁ。
 そんなわけはない。天下の朝日新聞が一番朝日新聞を読んでくれている団塊の世代を敵にまわすものか。
 要するに「積極的に移民を受け入れて人口を減らすな」と言いたい。ここで編集委員のオッサンは、専門家の話を持ち出す。
《もう10年以上前に、毛受さんは欧州で移民政策の専門家から「日本はダチョウのようだ」といわれた。》
 毛受さんというのは日本国際交流センターの執行理事のことね。編集委員、このあともこの人の発言を引く。
《閉鎖的な国が最後にどうなるか、それを示す反面教師みたいに海外から見られています》
 日本がね。大笑いではありませんか。欧州が移民を積極的に入れた結果、ここ2〜3年の大混乱につながっているのは明白である。それでイギリスはECを離脱したし、欧州の多くの国で右翼政党が台頭した。そしてヨーロッパ中でテロが起きていることは、置き去りでいいのだろうか。

 ドイツは積極的に移民を受け入れていた。とくにトルコ系移民は300万人を超えて、エルドアン大統領から言わせれば、ドイツはトルコの植民地のような感覚にさえなっている。事実、BBC放送でエルドアンは「ドイツ政府があくまで自分(エルドアン)の選挙戦を阻止するつもりなら『民衆蜂起』に直面するだろう」とドイツ政府を威嚇している。
 こんなドイツの「中位数年齢」は45.8歳であり、移民を拒否している日本は47.5歳でしかない。
 編集委員、自分の口では「移民受け入れを」とは絶対に言わない。逃げを打っている。しかし執行理事の口を借りて「移民政策を切り札として使え」と言う。

 コラムのケツを「まず老いた自画像と真正面から向き合わなければならない」としめているが、「まずお前が現実と向き合え」と言いたい。