権力に翻弄される

 劉暁波氏が獄中で亡くなられた。支那共産党の一党支配とは、なんと息苦しく不自由であることか。
《「中国政府に重い責任」 劉暁波氏の死去、各国から反応》
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170714-00000024-asahi-int
 ノルウェーのノーベル委員会は、「民主主義や人権を尊重する自由世界の旗手たちが、他者の権利のために立ち上がろうとする意欲が低かったことは、悲しく気がかりな事実だ」と述べている。
そのとおりだ。劉氏を、支那の逆賊門の向こうから救い出せなかったのは、国際社会の敗北と言っていい。
 
 夏目漱石が『倫敦塔』に書いている。
《又少し行くと右手に逆賊門がある。門の上には聖タマス塔が聳えて居る。逆賊門とは名前からすでに恐ろしい。古来から塔中に生きながら葬られた幾千の罪人は皆舟から此門迄護送されたのである。彼等が舟を捨てゝ一度此門を通過するや否や娑婆の太陽は再び彼等を照らさなかつた。》
 ついに劉氏は逆賊の汚名を着せられたまま、娑婆の太陽を再び拝むこともなく命脈を断った。朝日新聞に代表される世界市民が大好きなマスコミは、沖縄で「土人と言った、言わない」で大騒ぎするよりも自由の闘士を救出するための徹底した論陣を張れよ!

「文藝春秋」の8月号。冒頭のグラビアを飾るのがポール・ドラローシュ(1797〜1856)の油彩「レディ・ジェーン・グレイの処刑」である。今、兵庫県立美術館で開催中の「恐い絵」展の目玉と言っていい。そのスペシャルブックの表紙がこれである。いつもの本屋さんに並んでいたが、絵が怖くて買えなかった。
http://shoten.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=321611000183
そしたら「文藝春秋」に載っているのだもの……。
《ヘンリー八世の血を引くばかりに政争の具とされた彼女は、何も知らされぬままイングランド女王の座に据えられ、運命から逃がれ得ず若い命を落とした。異名は「九日間の女王》
 十日目には逆賊となった。
 この絵についても、漱石は『倫敦塔』の中に書いている。かなりリアルに。