対応の速さ

 すでにコラムニストの勝谷誠彦さんが有料メールで取り上げておられるが、このひどい記事は拡散・浸透しておくに限ると思って、勝谷さんの高性能ジムニーが通り過ぎた後の塵にまみれながらも触れたい。
 朝日新聞総合面「政治断簡」という1200字程度のコラムである。松下秀雄編集委員が書いたもので「多数派のエゴ その先は」と題されている。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12815163.html
 要するに、朝日新聞というオピニオン紙の編集委員が上から目線で、勉強をしていないことが露呈したコラムだということ。「全体主義」、「こじき」、「障害者施設」などについての理解を進めないまま書いちゃった。「天下の朝日新聞だからいいだろう」という間抜けさが哀れだ。障害者施設について、《人がまばらな地域に施設が造られる背景をこうみていた。視界から遠ざければ考えずに済むから。その方が楽だから。》と書く。これも人の話ということで、上手に責任は回避している。人の引用ばかりなのだけれど、その中に朝日の思想を上手に織り込んでいく。「上手」を2度使ったが、これが朝日新聞の名記者たるゆえんなのだろう。障害者施設の立地について、この記者はなにもご存じがない。勝谷さんはこう指摘する。
《人里離れた場所に弱者に対するさまざまな施設が作られるのは「地価が安いから」に尽きる。それは経済の当然のことであって「費用対効果」だ。出歩くのにも困難な方々は、街の真ん中にいる必要はあまりない。訪れる人たちは車を使えばいい。林間にあって快適な場所を作れるのであれば、経費はそちらにまわした方がいいのである。》
 現実にそうなのである。東京の築地にいるエリートにはそういう現場感がないのだろうが、それにしても決めつけがひどすぎる。

 ついでに看板コラムの「天声人語」。森鴎外の小説『独身』から「伝便」という荷物を運ぶ請負の仕事を冒頭に持ってきた。「荷物を運ぶ請負」といったところで、すぐにヤマト運輸の話だと推察できる。アスクルの物流倉庫の火災についも触れて《便利さを求めるとき、それに見合うだけのコストを払っているのかも考えてみたい。どこかで誰かに無理をかけるような仕組みは、いずれ行き詰まる。》と結ぶ。結構なコラムだが(笑)、ヤマト運輸の現場の疲弊のニュースは23日(木)午後2時に配信されている。コラムにするのが遅過ぎる。