迫力

 夕べ宴会。会社の幹部連中が並ぶ席だったが、話が合うのはほんの数人だけ。まぁそれだけいればいいのだろうけど。全体として話題が乏しい。宴会に対する高揚感がなく、厭戦気分のようなものすら漂っている。儀礼的恒例の飲み会なので盛り上がりがない。先般、常滑に行った時のような会全体をつつむ笑いのようなものはついに起らなかった。当たり障りのない話をして時間が過ぎていく。宴が締められても、名残を惜しむような雰囲気はなく、さっさと食事を済ませて席を立っていく。そんなものといえばそんなものなのだろうが……。かつての宴席は迫力があった。怖い強い(こわいこわい)人があちらこちらに陣取り、緊張感があったものだ。それも面倒くさいか(笑)。やっぱ、宴は気の合ったメンバーで好きな肴を少しずつ注文しながらちびりちびりとやるのがいい。

 帰宅してテレビを点けると1983年の映画『陽暉楼』が流れてきた。酔い覚ましに眺めていて気がついた。緒方拳は悪人づらですなぁ。いやいや拳さんだけでなく、成田三樹夫小池朝雄小林稔侍などもいい悪人づらである。凄味があるというのだろう。どうも平成の俳優陣にはこの顔が出せない。もちろん一般人にもここまで強い顔はいなくなってしまった。ワシャのまわりは羊のような顔ばかりだ。ワシャを含めて。