非礼尽くし

 なんと無礼な体制であることか。安倍首相と習近平主席との会談である。外交儀礼としてテーブル上に花を飾る。両国の国旗をあしらう。そんなことは当たり前だ。それがG20の閉会後、町役場の会議室のようなところで32分だけ。どれほど習主席が忙しいかは知らないが、はるばる海を越えてやってきた日本国首相を対応するには、あまりにも短い。礼を失している。
 集合写真にも理屈はあるようだが、安倍首相は2列目の端に追いやられた感がある。また、アメリカのオバマ大統領にも赤絨毯のタラップを用意せず、機体自体のタラップから降ろすというお粗末。
 こういうことを平然とやるところが、彼の国の体制の後進性と言っていい。
 そればかりではなく、G20の最中に、南シナ海スカボロー礁では、土砂を満載した埋め立て船が、海警に護衛されてフィリピンの沖合を航行している事実が明らかになった。 
「G20を成功させるために、南シナ海問題は取り上げないでくれ」と言っている足元から煙が立っている。
 一連の会議の状況を見るにつけ、中共習近平政権はかなりグリップが弱くなってきている。そんなところで軍や党員に気配りをしなければならないとは……。
 国内向けのポーズを決めなければ、足元がグラグラなのだろう。今の習近平政権は盤石ではないことは明らかだし、その脆弱性が垣間見えて、ある意味でおもしろい政治ドラマだった。