たそがれ

 今朝の朝日新聞の国際面にオバマ大統領とラオスの大統領が並んだ写真が載っている。ラオス軍の栄誉礼を受けているところだろう。しかし、その表情はさえない。世界最強の軍をもつ大統領である。その手には核のボタンすら持っている。そんな世界の権力者が、元植民地のリーダーに「××野郎!」と言われて、せいぜい会談をキャンセルするくらいしかできない。支那杭州では階段すら用意されなかった。アメリカ大統領である。よきにつけ悪しきにつけ、その威厳はあまねく全世界に響いているのではなかったか。
 2008年に民主党の大統領候補指名を確実にしたころのオバマさんにはオーラがあった。「Yes we can!」なんて言って格好よかった。しかしノーベル平和賞をもらったあたりから、いわゆる「位打ち」というやつですかね。カラカラと空回りをするようになり、世界の海千山千の政治家たちにいいようにあしらわれるようになる。8年で白髪も増えたしやつれてしまった。オバマ大統領だけの責任とは言わないが、ウクライナもシリアも南シナ海も、アメリカ大統領のグリップの弱さを突かれたことは間違いない。
 アメリカの次はクリントンかトランプだが、どちらにしろあまりいい方向にはならない気がする。英国も力を失ってしまった。その反面、近所の独裁国家は調子にのっている。
 もうそろそろ日本は自立すべきではないだろうか。反省も70年もすれば気が済んだだろう。国家としていつまでもたそがれている場合ではない。東南アジア諸国も日本の復活を(打算からではあるが)、心待ちにしているだろう。
 オバマが退場し、新局面になったとき、日本の活躍の場は広がっていく。
 しょぼしょぼと降る雨の中だろうか、傘をさして栄誉礼を受けるオバマ大統領をみて、そんなことを思った。