発掘しました!

 昨日、ようやく納戸の奥の衣装ケースの中から、星野之宣2001夜物語』(双葉社)を発掘した。いやー手間取ってしまった。こんなに奥深くに仕舞い込んでいたとは、こうなると本棚の限界ですな。もうそろそろコミックルームを造りたいがそういうわけにもいかず、どうしたもんじゃろのー。
 さて「2001夜物語」である。この連載が「スーパーアクション」で始まったのが、1984年だった。すでに32年が経過したコミックなのである。本の紙は茶色く変色しているものの、物語は全く古びていない。今でも新鮮な気持ちで読めるすごい作品である。
 1巻で人類は、太陽系の深部に隠れていた「魔王星」を発見する。ここで反物質を手に入れる。これにより2巻で大躍進の時代を迎える。しかし、そのところどころに「なにか手ごたえがおかしい」ことにも人類は気づきはじめる。そして3巻では、人智を超えた途方もない宇宙のスケールや複雑さに直面し、地球からわずか150光年進出した処で行き詰る。人類が宇宙に敗北をした。
《人々はようやく疲れ始めたのだ。眼前の大宇宙はなお広大で深遠でいささかも近づくことはない……》
 21世紀になれば、火星や金星に植民地が拓かれて、宇宙船が行きかっているのだと思っていたが、実際に2001年を超えてみても、地球世界は相変わらず混乱をしている。空を見上げるどころか、地面から目が離せない。21世紀の地球は、星野ワールドの150光年の進出どころか、むしろ退化を始めていると言ってもいい。

 G20が支那杭州で始まった。彼の国のリーダーはセンターでご満悦である。杭州は一帯の工場の操業を停止し、900万市民を市域から追い出してまでして、万全を期している。それだけやれば「G20ブルー」が現われるだろう。夜も住民を追い出したので、灯りも点らない。それならさぞかし夜空もきれいだろう。ぜひ、世界のリーダーたちに空を仰いでもらって、地球の小ささを実感してもらいたいものだ。